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確定拠出年金を分かりやすく解説!具体例やメリットデメリット
確定拠出年金とは?分かりやすく解説
確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)は、将来の年金や退職金を受け取るために、個人や企業が定期的に掛け金を拠出し、その資金を自分で選んだ運用商品に投資して運用する制度です。
運用成果に応じて受け取る金額が決まるため、運用の結果次第で受け取る年金額が変動します
「Defined Contribution Plan」の頭文字を取り「DC」もしくは、アメリカの確定拠出個人年金制度「401k」を参考にしたので、「日本版401k」と呼ばれることもあります。
日本では「確定拠出年金」と訳されます。
確定拠出年金は、将来の資産形成に役立つ制度ですが、運用リスクも伴うため、自身の「リスク許容度」や「投資目標に合わせた運用商品の選択」が重要となります。
確定拠出年金は、主に以下の2種類があります。
企業型確定拠出年金(DC)とは?
企業が従業員のために設ける年金制度のひとつで、企業が掛け金を拠出し、従業員は自分で企業等が選定した運用商品の中から、運用商品を選び、運用します。
口座管理手数料の負担も原則として企業が負担するため、iDeCoと比較した場合、加入者に負担の少ない制度といえます。
また、企業の年金規約で定めることで、企業の掛金に従業員が上乗せする
システム(マッチング拠出)が可能です。
※上乗せする掛金の額には条件があります。
- 企業の掛金の金額を超えないこと
- 加入者と企業の掛金の合計金額が、拠出限度額を超えないこと
また、企業型確定拠出年金(DC)でマッチング拠出をしている場合は、iDeCoとの併用条件の対象外となります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?
個人が自分で掛け金を拠出・運用する年金制度です。自分で掛金の金額を決めて拠出し、自分で運用方法を選択して資産を形成していきます。
掛け金は所得控除の対象となる等、掛ける時・運用している間・給付金の受け取り時に税制上の優遇措置が受けられる点が大きなメリットです。
iDeCoの掛金最低月額は5,000円です。上限額は、国民年金区分により異なります。
加えて、「第2号被保険者」のうちの会社員については、会社に企業年金制度があるかないか、年金制度はどのようなタイプか、により上限額が変わってきます。
確定拠出年金に関連する制度の概要
日本の年金制度は、国が運営する「公的年金」が土台となり、その上乗せとして企業が独自に実施したり、個人が任意で加入する「私的年金」があります。
国民全員の加入が義務づけられている「国民年金」、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する必要がある「厚生年金」、ここまでを「公的年金」といいます。
公的年金に上乗せして企業や個人が任意で加入することができる年金制度が「私的年金」です。
「確定拠出年金」は「私的年金」に相当し、公的年金の上乗せとして、老後の生活資金に備える制度です。
年金制度とは?
日本の公的年金制度は、老後の暮らしをはじめ、事故などで障害を負ったときや、家族が亡くなったときに、みんなで暮らしを支え合うという社会保険の考え方で作られた仕組みです。
- 日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方に、国民年金への加入義務
があります。
これを国民皆年金(こくみんかいねんきん)といいます。
- 個人や会社が納める保険料に加え、国も拠出して、受給者の方の暮らし
を支えます。
- 原則的には保険料を納めた期間や納付額に応じて年金を受け取ることが
できます。
これを社会保険方式といいます。
公的年金と私的年金の違い
公的年金は、老後の生活資金だけではなく、社会保障制度の一環として「万一のための保障」を提供するのに対し、私的年金は「将来のための積立」を目的としています。
また、公的年金は保険料負担者から集められた資金で年金受給者に支給される「相互扶助」の仕組みですが、私的年金は自分のために積み立てた資金を将来自分が受け取る「自助努力」の仕組みです。
企業年金や個人年金が必要と言われている理由
「人生100年時代」「老後2,000万円問題」という言葉を耳にされた事がある方も多いと思います。
日本の総人口は、2019年10月1日現在、1億2,617万人。 65歳以上人口は、3,589万人。
総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は28.4%になり、2070年には、38.7%へと上昇すると推計されています。
既に日本は、「人生100年時代」とも言われる超高齢社会へ突入しています。
2019年6月に金融庁の金融審議会の報告書が公表され、老後は2,000万円必要だと騒動になりました。これが「老後資金2,000万円問題」です。
2,000万円という金額は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では毎月約5.5万円の不足が生じるため、20~30年間の不足額が約1,320~1,980万円に上るという試算に基づいています。
この不足部分を補填するための「自助努力」が必要という訳です。
確定拠出年金のメリット・デメリット
確定拠出年金の基本的な仕組みは以下の通りです。
掛け金の拠出方法:
個人型(iDeCo):
個人が自分で掛け金を拠出します。掛け金は所得控除の対象となり、税制上の優遇措置があります。
企業型(DC):企業が従業員のために掛け金を拠出します。従業員も追加で掛け金を拠出することができるマッチング制度もあります。
運用:拠出された掛け金は、加入者が選んだ運用商品(投資信託、定期預金、保険商品など)に投資されます。
運用成果に応じて、将来受け取る年金額が変動します。
受給:原則として60歳以降に受給が開始されます。受給方法は一時金として一括で受け取るか、年金として分割で受け取るかを選択できます。
メリット:
税制優遇:掛け金は所得控除の対象となり、運用益も非課税です。
運用の自由度:自分で運用商品を選択できるため、リスクとリターンを自分
でコントロールできます。
デメリット:
運用リスク:運用成果によっては、元本割れのリスクがあります。
手数料:運用にかかる手数料が発生するため、注意が必要です。
受給時期:原則60歳未満での払出しはできません。
運用商品:
(価格変動型)投資信託:株式や債券に分散投資する商品です。運用成績に応じて値上がりして資産が増えることもありますが、値下がりして資産が減ってしまう事もあります。
(元本確保型)定期預金・保険商品:元本割れのリスクがないというメリットがありますが、低金利の状況だと将来の生活に必要な年金資産を増やせないというデメリットがあります。
また、保険商品については満期を迎えず運用商品の変更(スイッチング)をした場合、解約控除金が差し引かれることに注意が必要です。
「掛け金が全額所得控除の対象になる」とはどういう意味ですか?
個人が拠出した掛金は、企業型(DC)個人型(iDeCo)共に全額が所得控除の対象となり、掛金分だけ所得が減るため所得税と住民税が軽減されます。
仮に毎月の掛金が、「2万円の場合(年間24万円の拠出)」、所得税が10%、住民税が10%とすると年間4.8万円の税金が軽減されます。
「利益は非課税」とはどういう意味ですか?
確定拠出年金の場合、運用益に税金は掛かりません。
通常、資産運用で得た利益(所得)は、原則として課税対象です。
資産運用として、証券会社などで、投資信託をを運用すると、運用益に対して課せられる税金の税率は、20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税:5%)となります。
※復興特別所得税の加算は、2037年(令和19年)12月31日までの予定
「受取時にも税金的なメリットがある」とはどういう意味ですか?
確定拠出年金に積み立てたお金は年金や一時金で受け取ることができますが、受取時にも所得控除を受けることができます。
一時金で受け取る場合は退職所得として「退職所得控除」が受けられます。
退職所得控除は勤続年数により計算されます。
例えば、38年勤務の場合、2,060万円分が非課税となります。
年金で受け取る場合は「雑所得」として課税されますが、「公的年金等控除」が受けられます。
運用コストが安い
投資信託は、複数の投資家から集めた資金を元手に、資産運用のプロ(運用会社)が投資を代行しますので3種類の手数料が発生します。
販売手数料:投資信託を購入するたびにかかる手数料のことです。
信託財産留保額:投資信託を換金(解約)した時に発生する手数料のことです。
信託報酬(運用管理費用):個人に代わって投資・運用を担う運用会社に支払われる手数料です。
確定拠出年金で、選択できる運用商品(ファンドと言います。)の多くは、販売手数料、信託財産留保額が掛かりません。
配分変更(毎月の掛金で購入するファンドの種類や掛金の割合を変更すること)や、スイッチング(積立てた資産を売却し、別のファンドを購入すること)を、コストをあまり気にせず行えます。
また、信託報酬もDC専用ファンドとして低めに設定されている場合も多く、総じて運用に関すコストを抑えることが可能と言えます。
自己破産しても確定拠出年金は残る
個人の財産は、「破産財団に属するもの」と「自由財産」に分類されます。
確定拠出年金は差押禁止財産となり、自由財産に分類されます。
ただし、基本的に60歳まで引き出すことができない点は変りません。
投資信託の正しい選び方
確定拠出年金の運用商品は、と「価格変動型(投資信託)」が選択できます。
運用成績により、資産を大きく増やす事も可能ですが、反面、元本は保証されません。
「やっぱり元本が減るのはイヤだなあ。」というのであれば、元本確保型の定期預金だけで手堅く運用するのもひとつの方法ですが、インフレリスク(預金などの利率よりも物価上昇率が高い場合に、資産価値が目減りする可能性のこと)を考えると、長期運用という場面では、「初めての投資に挑戦してみよう」と思われる方が多いようです。
確定拠出年金制度のメリットを考え、積極的に価格変動型商品である投資信託を老後資産の形成に活用するというのもひとつの方法です。
投資信託の運用成績は市場環境などによって変動します。
このブレ幅を「リスク」と呼びます。
元本確保型の商品より、大きな収益を得る(=「リターン」と呼びます。)
ためには、「リスク」も大きくなります。
「リスク」と「リターン」は表裏一体の関係と言えます。
ですから購入の前にその投資信託がどういう運用をしていくのかを自分で理解しておく必要があります。
そのためにチェックしておくべきポイントと考え方を紹介します。
1つ目は投資対象です。
その投資信託が「何を対象に運用されているのか」ということを確認しておきましょう。
対象となる資産には国内株式、外国株式、国内債券、外国債券、不動産投資信託(REIT)など様々です。
一点集中でファンドを選ぶのではなく、異なる対象資産に資金を分散して運用することを「分散投資」と呼び、リスクを下げる効果が期待できます。
2つ目に確認したいのは運用方針です。
「インデックス(パッシブ)型」は、ベンチマーク(参考指標)に連動した値動きを目指します。
投資信託には、必ずファンドの運用方針をまとめた資料があります。(目論見書と呼ばれています。)
例えば、「TOPIX(東証株価指数)の動きに連動した運用成果を目指す」のであれば、TOPIXをベンチマークとするインデックス型の投資信託だということになります。
ニュースや新聞でTOPIXの値動きをチェックしていれば大まかな値動きをイメージすることが可能です。
「アクティブ型」はそのベンチマークよりも高い成績を目指します。
多くのリターンを期待できますが、その分リスクも高めになります。
ファンドには、これまでの運用成績をまとめた資料があります。(運用レポートと呼ばれています。)
例えば、「直近3年間の運用実績はどうだったか?」を確認することが可能です。
「インデックス(パッシブ)型」なら対象ベンチマークに連動した成績を残しているか、「アクティブ型」なら目標ベンチマークを上回る成績を残しているかがポイントになります。
3つ目にチェックしたいのがコストです。
投資信託には、「運用管理費用(信託報酬)」という手数料が発生します。
運用の成果に関わらず「運用管理費用(信託報酬)」は差し引かれます。
コストが低ければ良いという訳ではありません。同じ投資対象の他の投資信託と比較してリターンに見合っているかを確認します。
※確定拠出年金の話(一般社団法人 投資信託協会)
https://www.toushin.or.jp/dc_contents/index.html
まとめ
これまで企業型DC加入者は、ほぼiDeCoへの加入は出来ませんでしたが、2022年10月からは、企業型DCの加入者も、iDeCoに原則加入できるようになりました。
ただし、企業型DCの加入者掛金の拠出(マッチング拠出)を選択している場合や、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金が各月の拠出限度額の範囲内での各月拠出となっていない場合は、iDeCoには加入できません。
また、2024年12月には、iDeCoの拠出限度額が一部改変される予定です。
このように年金制度は、「ルール変更」が多くあり、且つ、運用リスクも伴うため、「ほったらかし」はオススメできません。
リスク許容度や投資目標を正しく把握し、最新の情報を整理し自分にあった運用商品を選択していくことが重要です。
ご自身の大切なセカンドライフ資金の準備を「運任せ」にしないようにご注意ください。
※確定拠出年金の拠出限度額(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/taishousha.html
元記事発行日:2024年8月22日、最終更新日:2024年8月23日