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小学校の金融教育の現状は?実際の研修内容も解説

小学校で金融教育が義務化された背景

金融教育とは、お金についての教育ですが、お金や金融商品の知識を向上する機会というだけではなく、「お金や金融のさまざまな働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やより良い社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育」と定義されています。

自立する力を育成する

金融教育を通じて生計を管理する基礎を身に付けると、将来の生活がより見通しやすくなります。

より豊かな生活を実現するために自ら考え、努力・工夫する態度を身に付けます。

社会と関わる力を育成

金融の働きや経済の仕組みを知ることや、金融に関する体験学習を体験することは、自分がさまざまな社会のつながりや支えの中で生かされていることを経験することができます。

他者や社会に感謝し貢献しようとする態度を養うことが期待できます。

将来への意欲・活力を育む

金融教育では体験的な学習を重視しているため、子どもたちは必然的に自分の将来や夢について思いをはせるチャンスを得ます。

そして夢を実現するためには、学習やさまざまな活動に積極的に取り組む必要があると感じるでしょう。

金融教育は子どもたちが積極的に物事に取り組むための動機付けとなります。

社会の中で自主的に生きる力として、『お金に対する正しい知識や判断力を養うこと』=『金融リテラシーの向上』というテーマを耳にする機会が増えました。

知るぽると(金融広報中央委員会)
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/program/

成人年齢が引き下げられたから

明治時代から約140年間、日本での成年年齢は20歳と民法で定められていました。

この民法が改正され、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わりました。
これによって、2022年4月1日時点で18歳、19歳の方は2022年4月1日に成人となりました。

また、2022年4月1日以降に18歳になる方(2004年4月2日以降に生まれた方)は、18歳の誕生日から成人となります。

18歳(成年)になったらできること(変わったこと)

  • 親の同意がなくても契約できる
  • 携帯電話の契約
  • ローンを組む
  • クレジットカードをつくる
  • 一人暮らしの部屋を借りる など
  • 10年有効のパスポートを取得する
  • 公認会計士や司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取る
  • 結婚
  • 女性の結婚可能年齢が16歳から18歳に引き上げられ、男女とも18歳
  • 性同一性障害の人が性別の取扱いの変更審判を受けられる
  • ※普通自動車免許の取得は従来と同様、「18歳以上」で取得可能

20歳にならないとできないこと(これまでと変わらないこと)

  • 飲酒をする
  • 喫煙をする
  • 競馬、競輪、オートレース、競艇の投票券(馬券など)を買う
  • 養子を迎える
  • 大型・中型自動車運転免許の取得

海外と比較して金融教育が遅れている

『金融リテラシー調査 2022年(金融広報中央委員会)』を見てみると、学校で金融教育を受けたことがあると認識している人の割合は、アメリカが20%に対して、日本は7%。

金融知識に自信のある人の割合は、アメリカでは71%と過半数を大幅に上回っているのに対し、日本では、12%とおよそ1割程度で、『自信がある』という声は残念ながら聞こえてきません。

金融リテラシーは日常生活の体験や社会人としての経験などでも向上させることは可能ですが、『自信をもって行動できる。選択(判断)できる。』という金融教育の目標は実現できていないようです。

社会環境が変化している

現代は、平均寿命が伸びて「人生100年時代」とも形容される超高齢社会への突入が予想されています。

2019年6月に金融庁の金融審議会の報告書が公表され、老後は2,000万円必要だと騒動になりました。

「老後資金2,000万円問題」と言われご存じの方も多いと思われます。

2,000万円という金額は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では毎月約5.5万円の不足が生じるため、20~30年間の不足額が約1,320~1,980万円に上るという試算に基づいています。

これまで老後の生活資金は、『退職金』と『年金』で賄えると言われてきましたが、退職給付額(退職金)は減少傾向にあり、1992年度には企業の92%に存在した退職給付制度が、2017年には80.5%の企業にしか存在しない状況となり、その金額も、減少しています。

(例)

「大学卒業者または大学院卒業者、管理・事務・技術職、勤続35年」
平均3,203万円(1997年)だった退職金が、20年後に、平均1,997万円(2017年)の62%に減少している。

また年金も、2000(平成12)年の法律改正で、老齢厚生年金の支給開始年齢がそれまでの60歳から65歳に引き上げられることになりました。

このような社会環境の変化から、『自助努力が必要』という声が大きく聞かれるようになっています。

小学校で金融教育が導入されてからの実情(問題点)は?

金融教育を始めるべきタイミングは、早いほどいいとされています。子どもの性格にもよりますが、お金の使い方によくない習慣がつく前がいいでしょう。

また、子どもだけではなく大人も、税金や資産形成などライフステージに応じた知識が必要になるため、年齢に応じた内容の金融教育を受けることが大切です。
 
海外では当たり前の金融教育ですが、日本では文部省が定めている学習指導要領を基本として金融教育のカリキュラムが組まれていて、小学校で2020年度、中学校で2021年度、高校で2022年度から、金融教育が本格的にスタートすることになりました。

小学校での金融教育の目標は、お金に関する知識・経験と社会で生きていくための基礎を習得することです。

家庭での教育やしつけ、これまでの保育所・幼稚園・認定こども園での教育や保育を踏まえて実施されます。

総合的な学習の時間を活用して金融教育を実施する場合は少なく、金融教育は特定の学習時間が設けられているわけではなく、社会・生活・家庭科・道徳・特別活動を中心に全教育活動を通じて推進されていきます。

  • 教材化の工夫

金融や経済の仕組みに関わる実社会の事例は、小学校の児童にとって複雑で抽象的であるものが多いので、単純で具体的な教材に置き換え、児童の発達の段階を踏まえることが大切となります。

また既有の経験を十分に生かせるように、例えば、保護者とともに買い物に出かけた経験や、自分のこづかいで買い物をした経験、お年玉を預貯金した経験などをもとに教材化を図ります。

  • 学習活動の工夫

教師主導型の授業を進めると、学級内で十分に理解できない児童も多く表出することが想定されるため、できるだけ学習活動を工夫して実感を持たせる必要があります。

総合的な学習の時間等において、学級や学年全体でお店やさんごっこのような活動を実施し、児童が実際に原料の仕入れ、品物の制作、値段の設定、販売活動、売上金の計算、利益高の算出、利益の活用法の考察などの活動を通して、経済の基礎を学ぶ活動も想定できる。

その際、広告、店の家賃などを設定するなどして、より現実の世界に近づければ高学年児童にも適した学習活動とすることができます。

また、ICT 端末の1人1台体制の整備を踏まえ、児童に端末を利用して調べ、考える学習を行わせることを前提にして、分かりやすいwebサイトや、きっかけとなる検索ワードなどを用意しておくことも大切です。

  • 発表などの表現方法の工夫

金融教育に関わる用語は、児童にとって日頃馴染みのうすいものが多いので、調べたことや考えたことをもとに、作品などの成果物をつくる際には他の児童が理解できるような用語を使用するように指導することが大切となります。

時には、教師が概念をかみ砕いて、児童が分かりやすい言葉に置き換えて説明することも必要となります。

分かりやすくできるかどうか、教師の指導の工夫が期待されるポイントです。

小学校で指導する際の用語の置き換えもこれからの課題である。「金融」や「市場」という言葉一つをとっても、児童に分かりやすく説明するには、どのような用語がよいか検討するが必要があります。

とは言え、小学校での金融教育は時間の制限や、課題も多くあります。

教育方法が標準化されていないため、実際の授業は必然的に教員の知識レベルや金融教育に対する熱量によって内容に差が生じることも考えられます。

また外部講師を招いて金融教育を行う場合にも、内容に偏りが出る懸念が指摘されています。

また家庭内での金融教育も期待されていますが、親世代に金融を教えた経験や知識が少ないことも課題になっています。

お金について子どもにきちんと教えられる大人を増やし、結果として高い金融リテラシーを持つ世代を増やすために重要となります。

※ミライブでは、『初めての金融教育』の機会として、親子で学べる金融教育イベントを協賛しています。

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小学校で学ぶ金融教育

金融教育の目標は4つの分野に大別されます。

消費生活・金融トラブル防止に関する分野(外部の知見の適切な活用)

困ったときにはすぐに身近な人に相談する態度を身に付ける

金融や経済の仕組みに関する分野

  • 暮らしを通じてお金の様々な働きを理解する
  • 小学生が巻き込まれる金融トラブルの実態について知り消費生活に関する

情報を活用して比較・選択する力を身に付ける

  • 事故や疾病等が生活に大きな影響を与えることを理解し、安全に行動する
  • 不測の事態に備える方法として貯蓄以外に保険があることを理解する
  • 子ども同士でお金の貸し借りはしないようにする
  • 金利計算(単利)などを通じて、主な預金商品とその利息の違いについて理解する

生活設計・家計管理に関する分野

  • 必要なもの(ニーズ)と欲しいもの(ウォンツ)を区別し、計画を立てて買物ができるようになる

キャリア教育に関する分野

  • 働くことを通してお金を得ることおよび将来を考え金銭を計画的に使うことの大切さを理解し、貯蓄する態度を身に付ける

ただし、「金融教育」の名の下に上記の目標を纏めて教えることのみが金融教育ではなく様々な教科や関連する教育領域において、子供たちにとって身近な「お金」をテーマとして一貫性を持たせたり、身に付けた知識・技能を総合的な学習(探究)の時間において統合・発展したりするなど、学習カリキュラムやマネジメントを通じ、子供たちの発達の段階に応じて、金融教育の分野別目標、年齢層別目標の達成を目指すことが望ましいと掲げています。

金融教育はミライブにお任せください

金融・経済をめぐる環境は、時代によって大きく変化していきます。

ミライブでは、金融教育に関するセミナーやイベントを世代別・テーマ別に開催しています。

セミナーやイベントは参加型で、金融教育を、『楽しく学ぶ場』を創造します。

社会人になってからも常に新しい情報を得て、金融リテラシーを高めることが重要です。

この機会に、自身にあった『テーマ』に参加してみてはいかがでしょうか。

また、従業員の福利厚生として金融教育を取り入れる会社は増えてきています。

金融教育が必要と考えている従業員は多く、魅力的な福利厚生制度として他社との差別化を図ることが可能になります。

ミライブではこれまで、

  • 専門家(ファイナンシャルプランナー)によるライフプランセミナー
  • 企業型確定拠出年金(DC)の導入 および フォローアップ研修
  • 既存研修(新人研修、マネジメント研修など)への金融教育の追加
  • ファミリーデーなどで、お子さま向け金融教育イベントの開催

など、様々な視点から金融教育を実施しています。

セミナーやイベントは参加型で、金融教育を、『楽しく学ぶ場』を創造しています。
  
従業員の皆さまは、将来の大きな不安ではなく、なんとなく、漠然とした不安を抱えていると感じる方が多いようです。
『不安の種』が育ってしまう前に、『金融教育』という種を育んでいきます。

ミライブの金融教育では、従業員エンゲージメントを高めることを意識し、『目的』・『トレーニング内容』・『実施方法』をカスタマイズして、最適解をご提案いたします。

元記事発行日:2024年8月11日、最終更新日:2024年8月23日