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エンゲージメント経営とは?概要とメリット・デメリット
目次
エンゲージメント経営とは?
エンゲージメント経営は、従業員の仕事への積極的な関与とモチベーションを高めることを目的とした経営手法です。
このアプローチは、従業員の満足度と生産性を向上させるために、従業員と企業の間に強い信頼関係とコミュニケーションを構築することに重点を置いています。
エンゲージメント経営の主な要素は以下の4点です。
- 従業員の声を尊重する: 従業員の意見やフィードバックを積極的に取り入れることで、彼らが企業の一員としての価値を感じられるようにします。具体的には、定期的な1on1ミーティングや匿名アンケート、提案制度などを通じて、従業員が自由に意見を述べられる環境を作ります。また、収集した意見は真摯に検討し、可能な限り改善に繋げることで、従業員は自身の意見が企業に貢献していると感じ、エンゲージメントが高まります。
- キャリア開発と成長の機会: 従業員が自己成長を感じられる環境を提供することは、モチベーションを高める重要な要素です。これには、トレーニングプログラムやキャリアパスの明確化が含まれます。具体的には、スキルアップのための研修制度や資格取得支援、社内公募制度などを導入し、従業員が自身のキャリアプランに合わせて成長できる機会を提供します。また、定期的なキャリア面談を通じて、従業員の希望や適性に合わせたキャリアパスを提示し、長期的な成長を支援します。
- 健康とウェルビーイングのサポート: 従業員の健康と福祉を重視することで、彼らの満足度と生産性が向上します。健康的なワークライフバランスやストレス管理の支援が重要です。具体的には、フレックスタイム制度やリモートワーク制度の導入、健康診断やメンタルヘルスケアの提供、福利厚生の充実などを通じて、従業員が心身ともに健康で働ける環境を整備します。また、職場でのコミュニケーションを促進し、従業員同士が互いにサポートし合えるような組織文化を醸成します。
- 目的と意義の共有: 企業のビジョンやミッションを明確にし、それを従業員と共有することで、彼らが自分の仕事に意味を見出せるようにします。具体的には、企業のビジョンやミッションを浸透させるためのワークショップや研修を実施し、従業員が自身の仕事がどのように社会に貢献しているかを理解できるようにします。また、企業の目標達成に向けた進捗状況や成功事例を定期的に共有し、従業員が自身の仕事の成果を実感できるようにします。
エンゲージメント経営は、単なる従業員満足度の向上を超えて、企業全体のパフォーマンスと競争力を強化するための包括的なアプローチです。
従業員一人ひとりが自身の役割に誇りを持ち、企業の成功に貢献することで、持続可能な成長が実現します。

エンゲージメント経営はなぜ注目されている?
エンゲージメント経営が注目される理由は、現代のビジネス環境において、従業員のモチベーションと満足度が企業の成功に直結するからです。
近年、労働人口の減少や働き方の多様化が進み、企業は優秀な人材の獲得と定着に苦慮しています。そのような状況下で、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させるエンゲージメント経営は、企業にとって重要な経営戦略となっています。
急速な技術進化や市場の変化により、企業は柔軟で適応力のある組織を求められています。こうした状況で、従業員が自発的に貢献し、高いパフォーマンスを発揮することが競争優位性の鍵となります。
また、労働市場の流動性が増す中、優秀な人材を引き留めることが重要です。
エンゲージメント経営は、従業員の満足度と忠誠心を高めることで、離職率を低下させます。特に、ミレニアル世代やZ世代は、給与や待遇だけでなく、働きがいや自己成長を重視する傾向があります。エンゲージメント経営は、これらの世代のニーズに応え、優秀な人材を引き付け、定着させるための有効な手段となります。
さらに、エンゲージメントが高い従業員は、顧客サービスの質を向上させ、結果として顧客満足度と企業の収益性も向上します。
従業員が企業のビジョンやミッションに共感し、自身の仕事に誇りを持っている場合、顧客に対しても積極的に貢献しようとする意識が高まります。その結果、顧客満足度が向上し、企業のブランドイメージ向上や売上増加に繋がります。
このように、エンゲージメント経営は従業員の幸福感を高めるだけでなく、企業全体の生産性と競争力を強化するための重要な戦略として注目されています。
エンゲージメント経営のメリット
離職要因を少なくできる
エンゲージメント経営は従業員の満足度と忠誠心を高めるため、離職要因を減少させる効果があります。従業員が仕事に対して意義を感じ、自分の意見が尊重される環境で働けると、職場に対する愛着が強まり、転職の誘惑が減少します。
また、従業員が自身の成長を実感できるようなキャリアパスや研修制度が整備されている場合、将来への不安が解消され、長期的なキャリアを築きたいという意欲が高まります。
さらに、良好な職場環境は仕事のストレスを軽減し、働きやすさを向上させるため、従業員が自ら進んで長く働き続ける意欲を持つようになります。
結果として、企業は貴重な人材を保持し続けることができ、採用やトレーニングにかかるコストも削減できます。
労働生産性を高められる
エンゲージメント経営は、従業員のモチベーションと関与を高めることで労働生産性を向上させます。
エンゲージメントの高い従業員は、自分の仕事に意義を見出し、積極的に業務に取り組む姿勢を持ちます。彼らは効率的に仕事を進め、創造的な問題解決能力を発揮しやすくなります。
また、エンゲージメントの高い従業員は、自ら目標を設定し、達成に向けて主体的に行動するため、上司からの指示待ちではなく、自律的に業務を遂行することができます。自己成長の機会が提供されることで、スキルや知識が向上し、結果として業務の質も高まります。
さらに、エンゲージメントが高い環境では、チームワークが促進され、協力して目標を達成する意識が強まります。従業員同士が互いにサポートし合い、仕事の効率が向上し、結果として、企業全体の生産性が向上し、競争力が強化されるでしょう。
社員と社長の関係性が良好になる可能性がある
エンゲージメント経営は、社員と社長の関係性を改善する可能性があります。
エンゲージメントを高めるためには、オープンなコミュニケーションと信頼関係の構築が不可欠です。
社長が従業員との対話を重視し、定期的にタウンホールミーティングやワークショップを開催することで、従業員は社長との距離が縮まり、親近感を抱くようになります。従業員の意見を尊重し、フィードバックを積極的に取り入れる姿勢を示すことで、従業員は自分の意見が企業にとって重要であると感じます。
このような環境では、従業員は社長に対して信頼感を抱き、積極的に意見を共有するようになります。
また、社長が従業員の成果を認め、感謝の気持ちを伝えることで、従業員は自分の貢献が評価されていると感じ、モチベーションが高まります。エンゲージメント経営は、社長が従業員の成長やウェルビーイングをサポートする姿勢を示すことにもつながります。
従業員は社長をリーダーとして尊敬し、共通の目標に向かって協力する意欲が高まり、結果として、良好な関係性が築かれ、職場全体の雰囲気が向上します。
エンゲージメント経営のデメリットは?
エンゲージメント経営には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
まず、コストと時間についてです。
エンゲージメント経営を実施するには、従業員の意識調査やフィードバックシステムの導入、トレーニングプログラムの実施など、相当なコストと時間が必要です。
特に、大規模な組織では、全従業員を対象とした施策を実施するためには、多大な費用と人的リソースが必要となります。中小企業やリソースが限られている企業にとっては、この負担が大きく、他の重要な業務に影響を与える可能性があります。
そんなエンゲージメント経営ですが、コストと時間をかけて行っても、結果が見えるには時間がかかることもデメリットにあげられるでしょう。従業員のエンゲージメントを高めるには継続的な努力が必要であり、その結果が見えるまでには時間がかかります。
このため、短期的な成果を求める経営者にとっては、忍耐が求められる取り組みとなってきます。
また、エンゲージメント経営は、一度実施すれば終わりというものではなく、定期的な見直しや改善が必要です。そのため、長期的な視点と継続的な努力が不可欠となります。
更に、エンゲージメント経営が全ての従業員に対して効果的であるとは限りません。個々の従業員のニーズや価値観は異なり、一部の従業員にはエンゲージメント向上策が逆効果になることもあります。
例えば、過度なコミュニケーションや評価制度がプレッシャーとなり、ストレスを感じる従業員にとっては、逆効果になってしまうので、気をつけなければなりません。そのため、従業員一人ひとりの個性やニーズを把握し、多様な施策を組み合わせることが重要となります。
エンゲージメント経営を実践する流れ
それでは、エンゲージメント経営のメリットとデメリットをそれぞれ理解したところで、実際にエンゲージメント経営を実践する場合の流れについて、考えていきましょう。
エンゲージメントスコアの測定
エンゲージメント経営の第一歩は、従業員のエンゲージメントスコアを測定することです。
これには、アンケート調査やフィードバックセッションを通じて、従業員の仕事満足度やモチベーション、職場環境に対する意見を収集する役割があります。
エンゲージメントスコアの測定には、従業員が仕事にどれだけ熱意を持っているか、組織に貢献したいと感じているか、職場環境に満足しているかなどを把握するための質問が含まれます。これらの質問は、従業員のエンゲージメントを多角的に評価するために、さまざまな側面から設計されます。
調査結果を分析し、従業員がどれだけ仕事に対して積極的であるかを数値化し、これにより、現状の把握ができ、具体的な改善策の立案に役立ちます。
また、エンゲージメントスコアの測定は、定期的に行うことで、施策の効果測定や改善点の発見に繋がります。従業員のエンゲージメントは常に変化するため、継続的なモニタリングが重要です。
問題点・改善点の洗い出し
エンゲージメントスコアの結果を基に、職場の問題点や改善点を洗い出します。
低スコアの要因を特定し、従業員の声を詳しく聞くことで、具体的な課題を明確にします。
問題点の洗い出しでは、定量的データだけでなく、従業員からの定性的フィードバックも重視します。例えば、自由記述式のアンケートやグループインタビューなどを通じて、従業員が抱える具体的な悩みや不満を把握します。
例えば、コミュニケーション不足やキャリア成長の機会が少ないなどの問題を特定し、それらを解決するための具体的な施策を検討することを行います。
このステップでは、従業員の参加を促し、実際のニーズに即した改善策を策定することが重要です。
改善策の策定には、従業員代表や各部署のマネージャーなど、多様な関係者を巻き込むことが効果的です。様々な視点を取り入れることで、より包括的で実行可能な改善策を立案することができます。
エンゲージメント経営のガイドライン作成
洗い出された問題点・改善点を基に、エンゲージメント経営のガイドラインを作成します。このガイドラインには、具体的な目標、施策、実行計画が含まれます。
ガイドラインには、具体的な施策の実施時期や責任者、評価指標などを明確に記載します。これにより、全従業員が同じ目標に向かって一丸となって取り組むことができます。
例えば、定期的なフィードバックの実施や、キャリア開発プログラムの導入、健康支援制度の拡充などが挙げられます。
ガイドラインは、経営層から従業員全体まで共有され、全員が同じ方向性で取り組むための基盤となり、これにより持続的なエンゲージメント向上が期待できます。
また、ガイドラインは定期的に見直し、改善を加えることが重要です。社会情勢や従業員のニーズの変化に合わせて、柔軟に対応していく必要があります。
エンゲージメント経営の企業実例
それでは、エンゲージメント経営を実践し、成功している企業をいくつかご紹介致します。
1. Google
Googleは、従業員のエンゲージメントを高めるために多くの取り組みを行っています。
例えば、自由な発想を促すための「20%プロジェクト」があります。
これは、従業員が自分の通常業務の20%を好きなプロジェクトに費やせるという制度です。
この取り組みは、従業員の創造性とモチベーションを高め、革新的なアイデアの創出を促進します。
また、Googleは従業員の意見を積極的に取り入れる文化があり、定期的にタウンホールミーティングやアンケート調査を実施しています。これにより、従業員の不満や要望を把握し、改善に繋げています。
2. Salesforce
Salesforceは、エンゲージメント経営の一環として、従業員の健康と福祉に注力しています。
会社は「Ohana」というハワイ語で家族を意味する文化を導入し、従業員間の強い絆とサポートを促進しています。
具体的には、従業員がボランティア活動に参加する時間を設けたり、地域社会への貢献を奨励したりしています。これにより、従業員は社会的な意義を感じ、エンゲージメントが高まります。 また、Salesforceは定期的に「全社ミーティング」を開催し、全従業員が企業のビジョンや目標について共有する機会を設けています。
このような取り組みは、従業員の一体感とコミットメントを高める効果があります。
3. Zappos
オンライン靴・衣料品販売企業のZapposは、従業員のエンゲージメントを高めるために独自の企業文化を築いています。
Zapposは、従業員が自分の役割に対して強い誇りを持てるような環境を提供しています。
例えば、Zapposでは新入社員研修の最後に、会社に合わないと感じた場合に辞めるためのボーナスを提供します。
これは、企業文化に本当に共感できる人だけが残るようにするためのもので、結果的に高いエンゲージメントを実現しています。Zapposは、従業員が顧客に対して最高のサービスを提供することを重視しており、そのために従業員のエンゲージメント向上に力を入れています。
4. Netflix
Netflixは、透明性と自主性を重視したエンゲージメント経営を行っています。
例えば、「自由と責任」の文化を推進し、従業員が自分の仕事に対して大きな裁量を持つ一方で、高い成果を求められます。
これにより、従業員は自分の役割に対して強い責任感と誇りを持つようになります。
Netflixは、従業員に対して高い給与と充実した福利厚生を提供することで、モチベーションを高めています。また、優秀な人材が集まる環境を作ることで、従業員同士が切磋琢磨し、成長を促しています。
また、Netflixは定期的なフィードバックとオープンなコミュニケーションを重視し、従業員の意見を積極的に取り入れています。
これらの企業は、エンゲージメント経営を通じて従業員のモチベーションと満足度を高め、それによって企業全体のパフォーマンスと競争力を強化しています。
エンゲージメント経営の成功は、従業員が自分の仕事に誇りを持ち、企業の目標に対して強いコミットメントを持つことにより実現されています。

エンゲージメント経営の注意点
エンゲージメント経営の注意点は、過度な期待とプレッシャーを避けることと、一貫したコミュニケーションを保つことです。
従業員に過度な成果を求めすぎると、逆にストレスやバーンアウトの原因となるため、バランスが重要です。
エンゲージメント経営は、従業員の自発的な貢献を促すためのものであり、強制的なものではありません。従業員が自ら考え、行動できるような環境を整備することが重要です。
また、経営層と従業員の間でオープンな対話を継続し、従業員の意見やフィードバックを定期的に収集して改善策を講じることが必要です。
さらに、全員が理解し納得できるような透明性のある施策の実施が求められてきます。 エンゲージメント経営は、経営層だけでなく、従業員一人ひとりの協力があって初めて成功します。従業員が主体的に参加し、意見を出し合えるような風土を醸成することが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
エンゲージメント経営とはどのようなものか、メリットやデメリットはどのようなことがあるのかを理解し、自社に導入するべきかジャッジはできましたか?
たくさんのメリットがあるエンゲージメント経営、正しく理解し有効に活用していきましょう。
元記事発行日:2024年8月18日、最終更新日:2025年3月20日