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人的資本経営における採用戦略!企業が重要視するべき項目とは

企業の成長と競争力を維持するためには、戦略的な採用と育成が不可欠です。

現代のビジネス環境では、単にスキルや経験だけでなく、組織の価値観にマッチする人材の確保が成功の鍵となります。

今回は、企業が採用戦略において人的資本経営の視点から重要視すべきポイントを解説します。

人的資本経営では、人材にかかる費用や時間は、コストではなく、投資とみなします。

優れた人材を見つけ出し、引きつけ、維持するための具体的な方法を探ります。

これからの採用戦略に必要な視点と実践的なアプローチを考えていきましょう。

人的資本経営とは?

人的資本経営(HumanCapitalManagement,HCM)とは、企業が従業員を戦略的な資源として管理・活用するためのアプローチです。

この概念は、従業員ひとりひとりのスキル、知識、経験、そして能力を企業の成功に直接結びつけることを目指しています。

人的資本は企業の競争力の源泉とされており、従業員のモチベーションと生産性の向上が企業の利益率を最大20%向上させる可能性があるとされています。

企業は、従業員の成長と開発に投資するメリットは十分にあるでしょう。

効果的な採用戦略と継続的な育成プログラムは、人的資本経営の中核をなします。

実際、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に重点を置いた企業は、一般的な企業と比較して最大1.7倍のイノベーション収益を上げると報告されています。

人的資本経営では、データと分析の活用が不可欠です。

従業員エンゲージメントを測定し、そのデータを基に改善策を講じることで、離職率を最大40%削減することができる可能性も示唆されています。

また従業員の健康とウェルビーイングも重要な要素です。

健康的な働き方を推進することで、病気による欠勤が減少し生産性が向上することが研究で示されています。

ある企業ではウェルビーイングプログラムの導入により、欠勤日数が10%減少したとの結果もあります。

人的資本経営は従業員を単なるコストと見るのではなく、企業の重要な資産として捉える考え方です。

これにより、企業はより持続的で競争力のある成長を実現できるでしょう。

人的資本経営の採用と従来の採用の違い

【従来の採用】

従来の採用では人材を「資源」として扱い、採用にかかる費用を「コスト」として捉える傾向があります。

例えば、新卒一括採用が一般的で、企業はコスト削減を目指して一度に多くの新卒社員を採用することが多いでしょう。

このアプローチは場合によっては、企業文化や価値観にフィットするかよりも、特定のスキルや経験が重視され、即戦力として期待できる人材が求められます。

そのため従来の採用では、長期的な視点が不足する可能性があります。

即戦力として採用された人材が企業に長期間残るかどうかは不透明であり、結果的に高い離職率やモチベーションの低下を引き起こすことがあります。

また、画一的な採用手法に依存することで、多様なバックグラウンドや経験を持つ人材を見逃す可能性もあるでしょう。

【人的資本経営の採用】

これに対して人的資本経営の採用では、人材を「資本」と見なし、採用や育成に対する支出を「投資」と考えます。

企業は、従業員の長期的な成長と企業全体の持続的な価値向上に焦点を当てています。

このアプローチでは、候補者の成長ポテンシャルや組織文化へのフィット感が重要視され、多様な背景や経験を持つ人材が採用の対象となります。

例えば、外国人材や自己研鑽を積んだ人材、キャリアチェンジャーなど、多様な候補者をターゲットにすることが可能です。

こうしたアプローチにより、企業は多様な視点や経験を持つチームを構築し、イノベーションを促進することができるのです。

従来の採用は「コスト削減」を重視し、即戦力を求めるのに対し、人的資本経営の採用は「投資」として人材を見て、企業の中長期的な成長を目指すという違いがあります。

このアプローチにより、企業は持続可能で競争力のある組織を築くことができるのです。

人的資本経営における採用戦略で企業が重要視するべきこと

企業が人的資本経営において成功を収めるためには、優れた採用戦略が不可欠です。

採用戦略は、企業の成長を支える最も重要な要素の一つであり、適切な人材を見つけ、引きつけ、維持するための枠組みです。

企業はまず採用戦略をしっかりと固めることから始め、求職者に対して透明性の高い情報提供を行います。

例えば、対話の機会を増やすことで、最適な人材を確保することができます。

【1.採用戦略を決める。】

採用戦略を決めるためには、まず企業の目標とビジョンに基づいて、必要なスキルセットや経験を明確に定義することが重要です。

これにより、採用活動が一貫性を持ち、ターゲットとする人材像が明確になります。

また、採用プロセス全体を通じて、一貫したブランドメッセージを伝えることも大切です。

これは、候補者が企業文化に共感し、自らの成長と企業の発展がリンクすることを認識させるためです。

さらに、データ駆動型のアプローチを採用することで、過去の採用データを分析し、最も効果的な採用チャネルや手法を特定することができます。

例えば、過去の採用データを分析して、特定のスキルや経験が高いパフォーマンスに寄与しているかどうかを確認し、それに基づいて採用基準を見直すことができます。

柔軟な採用戦略を持つことで、急速に変化する市場環境や求職者のニーズに迅速に対応できるようになります。

【2.求職者の求める情報開示を行う。】

求職者が企業に期待する情報を明確に開示することは、信頼関係の構築に不可欠です。

求職者は、企業文化、働き方、報酬体系、キャリアパス、福利厚生などについての詳細な情報を求めています。

これらの情報を透明性高く提供することで、求職者は自身の価値観やライフスタイルに合致するかどうかを判断しやすくなります。

また、求人情報の詳細度を高めることで、適切な人材が応募しやすくなります。

例えば、具体的な業務内容や期待される成果、求められるスキルや経験について詳しく記載することが重要です。

さらに、企業のミッションやビジョン、価値観についても触れることで、企業の魅力を伝えやすくなります。

情報開示により、求職者は企業への理解を深め、応募前に自身のキャリアプランと企業の方向性が一致しているかを確認できます。

これにより、採用後のミスマッチを減らし、定着率を向上させることが期待できます。

【求職者と対話する機会を増やす。】

求職者と直接対話する機会を増やすことは、非常に有益です。

インターンシップや説明会、キャリアフェアなどのイベントを通じて、求職者との対話の場を設けることで、求職者の関心や質問を直接感じることができます。

このような場では、企業の魅力をより具体的に伝えることができ、求職者との関係構築が進みます。

他にも、インタビューや面談の際に、求職者の疑問や不安に真摯に応えることも重要です。

求職者は企業に対して信頼感を抱き、自分が大切にされている、求められている人材と感じます。

企業側も求職者の人間性や価値観を理解することができ、より適切な判断ができるようになります。

またオンラインでのコミュニケーションも積極的に活用するべきです。

ウェビナーやオンライン説明会、バーチャルツアーなどを通じて、地理的な制約を超えて多くの求職者と接触することが可能になります。

これにより、多様なバックグラウンドを持つ優れた人材を見つけることができ、グローバルな視点での採用活動が進められます。

人的資本経営の採用戦略でのよくある失敗事例

人的資本経営の採用戦略では、いくつかのよくある失敗例があります。

失敗例の分析から、企業は採用戦略を見直し、より効果的で効率的なアプローチを採用することで、最適な人材を確保し、持続可能な成長を実現することが求められます。

1.ターゲットの曖昧さ多くの企業が求める人材の特性やスキルセットを具体的に定義せずに採用活動を行うことが一つの失敗例です。

このような曖昧さにより、企業文化に適合しない、または業務に必要なスキルを持たない候補者を採用するリスクが高まります。

具体的なターゲットを明確にすることで、採用活動の効率と効果を大幅に向上させることができます。

2.適切な評価基準の欠如採用プロセスにおいて、候補者のスキルや適性を評価するための基準が不十分である場合があります。

例えば、面接官が統一した評価基準を持たずに主観的な判断で候補者を評価すると、採用の公平性が失われ、最適な人材を見逃す可能性があります。

当たり前のことですが、統一された評価基準を設け、面接官がそれに基づき評価を行うことが重要です。

3.コミュニケーション不足採用過程において、企業から求職者への情報提供やフィードバックが不足していることも失敗の一因です。

求職者は企業からの透明性と迅速なコミュニケーションを求めており、情報が不十分であると企業への信頼感が損なわれ、優秀な人材が他社へ流れることがあります。

定期的なコミュニケーションと透明性のある情報提供が求職者との信頼関係構築に繋がります。

4.採用プロセスの非効率複雑で時間がかかる採用プロセスも失敗の原因となります。

採用プロセスが遅延することで、優秀な候補者が他社に取られてしまうリスクが高まります。

効率的で迅速な採用プロセスを設計し、候補者に対してスムーズな体験を提供することが重要です。

5.企業文化とのミスマッチ採用活動において、企業文化や価値観が求職者に伝わらない場合、入社後のミスマッチが発生する可能性があります。

企業文化に合わない人材を採用することで、早期退職やモチベーション低下といった問題が生じることがあります。

採用と育成に掛けるリソースは限られています。

面接やオリエンテーションを通じて企業文化を適切に伝えることが重要です。

6.多様性の欠如多様性を考慮せずに採用活動を行うことも失敗の一因となり得ます。

多様なバックグラウンドや視点、文化や経験を持つ人材を採用することで、企業のイノベーションや問題解決能力が向上します。

多様性を重視した採用戦略を取り入れることで、より包括的で強力な組織を構築することができます。

人的資本経営の採用戦略での成功事例

人的資本経営の採用戦略で、成果の上がっている事例をご紹介します。

A社

A社は、経営戦略の達成に必要な人材ポートフォリオを策定し、毎年全社的に採用すべき人材の質と量を洗い出しています。

これにより、現実と理想のギャップを把握し、採用や育成を計画的に実施しています。

必要な人材が内部で確保できない場合には、M&Aやコーポレートベンチャーキャピタルとの連携を強化して人材を確保しています。

A社では、2022年度に開始した中期経営計画と連動して、「終身成長」と「共創力」を柱とする人材戦略を策定しました。

「終身成長」では、公募人事制度の運用やキャリア教育、リスキリングを促進するオンライン学習プラットフォームの導入を行っています。

また、エンゲージメント向上施策やマネジメント力の向上にも注力しています。

「共創力」では、「多様性を拡げる」施策として高度専門職制度や女性の活躍推進、柔軟な働き方の推進を実施しています。

また、「多様性をつなげる」施策として積極的なキャリア採用や、事業領域を超えた異動・交流を行っています。

B社

B社は、人材を事業創出の原動力と考え、全社一丸となって採用活動を実施するカルチャーを醸成しています。

会社のフェーズに合わせて採用手法を毎年アップデートしており、近年ではオンラインでの採用活動にも力を入れています。

処遇の見直しも進めており、2023年度からは新卒社員の初任給を一律で月額8万円引き上げ、42万円としました。

B社では2017年から、人事と従業員が協力して採用を行うプロジェクトを始動させました。

採用活動への協力が評価項目にも取り入れられており、多くの従業員が採用に関与しています。

また、B社は採用サイトや統合報告書で人的資本やESGに関する情報を積極的に発信しています。

「93%の新入社員が『チャレンジできている』」「88%の社員が『働きがいがある』と回答」など、求職者にとって魅力的な情報を提供しています。

※ESGとは(内閣府)Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)を考慮した投資活動や経営・事業活動を指します。

https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/r02kokusai/h2_02_01.html

C社

C社は、2024年卒の学生を対象とした「就職人気企業ランキング」で5年連続トップの座を守っています。

1999年より人材育成のための費用を「人的資本投資」と位置づけ、年間10億円以上を研修関連経費として支出し、その取り組みを全社でレビューしています。

C社では、人材戦略を「経営戦略の一つ」と位置づけ、能力開発や健康向上施策、職場環境の整備を通して「個の力」を高め、労働生産性と企業価値の向上を図っています。

2022年度時点での労働生産性は、2010年度の5.2倍となっています。

これらの企業の事例は特別なものではなく、人材戦略を通じて企業の成長と競争力向上を実現するための具体的な方法を示しているでしょう。

各社が独自のアプローチで求職者にアピールし、最適な人材を確保している様子がよくわかります。

人的資本経営のサポートはミライブにお任せください!

人的資本経営(HumanCapitalManagement)とは、会社や組織が「人」という大切な資産を最大限に活かすための方法です。

人的資本の考え方の期限は古く、既に多くのエッセンスは、皆さまの経営活動の中に活かされています。少し、視点を変えて。最高の選択をするために。

ミライブでは、「従業員のエンゲージメント向上」に対して、「金融」「経済」「お金」を題材として、「金融教育」というアプローチを行います。

金融というと苦手意識を持っている方も多いのですが、社会や経済の仕組みは身近な話題であり、伝え方を工夫するだけで、誰でも比較的短い時間で、金融教育の効果を、実感することが可能です。

また「金融教育をきちんと学び直したい」と考えている社会人は多く、「学びの場」を提供することは、他社との差別化を図ることが可能になります。

これまでに、

専門家(ファイナンシャルプランナー)によるライフプランセミナー

企業型確定拠出年金(DC)の導入およびフォローアップ研修

既存研修(新人研修、マネジメント研修など)への金融教育の追加

ファミリーデーなどで、お子さま向け金融教育イベントの開催

などで、お子さま向け金融教育イベントの開催など、様々な視点から金融教育を実施しています。

セミナーやイベントは参加型で、『楽しく学ぶ場』を創造しています。従業員の皆さまは、将来の大きな不安ではなく、なんとなく、漠然とした不安を抱えていると感じる方が多いようです。

『不安の種』が育ってしまう前に。ミライブの金融教育では、従業員エンゲージメントを高めることを意識し、『目的』・『トレーニング内容』・『実施方法』をカスタマイズして、最適解をご提案いたします。

元記事発行日:2024年11月25日、最終更新日:2024年11月28日