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退職金制度にはどんな種類がある?それぞれにかかる税金も解説

退職金は、長年勤務をした従業員に対し支給される金銭であり、これまで多くの企業で設けられてきました。

退職金制度は従業員の生活保障や定年後の資金計画に大きな役割を果たしますが、その制度内容や種類は企業によって異なります。

本記事では、退職金制度の概要や種類、税金の計算方法、中小企業での退職金の相場についても解説を致します。

従業員の退職後の生活を支えるために、適切な退職金制度を導入し、福利厚生の充実をお考えの方はぜひ最後までご覧ください!

退職金制度とは?

退職金制度とは、従業員が退職した際に長年の勤務に対する報酬として企業から支給される金銭的な給付のことを指します。

退職金は、老後の生活を支えるための資金として重要であり、従業員の経済的な安心感を高める役割を果たします。

そのため、多くの企業が福利厚生制度の一環として退職金制度を設けており、従業員の定年退職や自己都合退職など、さまざまなケースに応じて支給されます。

退職金の支給方法には、退職時に一括で支払う「退職一時金制度」や、年金のように分割して支給する「企業年金制度」などがあり、それぞれの企業が自社の方針に応じて制度を選定しています。

支給額や計算方法は企業の就業規則や退職金規程に基づいており、勤続年数や役職、最終給与の水準などが考慮されることが一般的です。

また、適切な退職金制度を導入することで、従業員のモチベーションを高め、優秀な人材の定着や離職防止にもつながります。

企業にとっても、従業員に長く安心して働いてもらうための重要な制度と言えるでしょう。

主な退職金制度の種類

退職金制度と一言で言ってもさまざまな種類があり、それぞれに特徴やメリット、デメリットがあります。

ここでは、主な退職金制度を紹介し、ご説明致します。

退職一時金制度(社内積立)

退職一時金制度(社内積立)は、従業員が退職する際に一括で退職金を支給する制度です。

この制度では、企業が従業員の退職までに社内で積立を行い、退職時にその積立金から給付を行います。

支給額は通常、勤続年数や最終給与、役職などに基づいて計算されるため、長く勤めた従業員ほど高額な退職金を受け取ることができます。

退職一時金制度の主なメリットは、比較的導入が容易であり、制度設計がシンプルである点です。

また、従業員にとっては退職時にまとまった金額を受け取れるため、住宅ローンの返済や老後の生活資金として活用しやすいという利点があります。

ただし、企業にとっては退職金の積立を長期的に行う必要があり、退職者が増えると一時的に財務負担が大きくなるリスクも伴います。

そのため、企業の財務状況や将来の人員計画を考慮した積立計画が求められます。

確定給付企業年金制度(DB)

確定給付企業年金制度(Defined Benefit Plan、DB)は、企業が従業員に対して退職後の年金給付額をあらかじめ保証する制度です。

給付額は、勤続年数や最終給与額、役職などに基づいて計算され、企業はその給付額を支払う責任を負います。

この制度の特徴は、従業員にとって退職後の年金額が確定しているため、老後の生活設計が立てやすい点です。

年金の支給は一括給付ではなく、分割して支給されることが一般的で、終身年金や一定期間の定期年金など、給付の形式も選択肢があります。

企業にとっては、将来の年金給付に備えて年金資産を運用する必要があり、運用成績が悪化した場合には追加の積立が必要となるリスクがあります。

一方、運用が順調であれば、企業の財務負担を軽減することも可能です。

この制度は特に大企業で導入されることが多く、従業員の福利厚生を充実させるための手段として広く利用されています。

厚生年金基金制度

厚生年金基金制度は、企業が厚生年金に上乗せして従業員に追加の年金給付を行う制度です。

これは公的な厚生年金に代替して給付する「代行部分」と、企業独自に上乗せする「加算部分」から構成されています。

企業と従業員が負担する保険料によって資金が積み立てられ、その資金を運用して年金の支払いに充てる仕組みです。

この制度のメリットは、従業員にとって老後の年金給付が増えることで、生活の安定に寄与する点です。

また、企業はこの制度を導入することで、福利厚生の充実を図り、優秀な人材の確保や定着率の向上につなげることができます。

しかし、近年では厚生年金基金制度の運営が厳しくなってきています。

理由として、運用成績の悪化や高齢化の進展による受給者の増加、積立不足などが挙げられます。

これにより、廃止や解散する基金が増加しており、企業は他の退職金制度や企業年金制度への移行を余儀なくされるケースが増えています。

現在、新たな厚生年金基金の設立は認められていませんが、既存の基金は引き続き運営されています。

確定拠出年金制度(DC)

確定拠出年金制度(Defined Contribution Plan、DC)は、企業が従業員のために一定の掛金を拠出し、その掛金を従業員自身が運用して将来の年金資産を形成する制度です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)と、個人が自ら掛金を拠出する個人型確定拠出年金(iDeCo)の2種類があります。

給付額は運用成績によって変動し、運用が成功すれば受取額が増える一方で、運用がうまくいかなければ減るリスクもあります。

そのため、運用リスクは従業員が負い、企業は固定額の掛金を支払うのみでリスクを負わない仕組みです。

従業員は、自身のリスク許容度や将来の資金計画に応じて、株式や債券、投資信託などの運用商品を選択できるため、自己責任での資産形成が求められます。

税制面でも優遇があり、掛金は全額所得控除の対象となり、運用益も非課税です。

確定拠出年金は、老後の資産形成をサポートする制度として普及が進んでおり、持ち運びができる退職金として、今後の多様化する働き方にもマッチする自由度の高い制度として、特に若年層や中小企業での導入が増加しています。

中小企業退職金共済制度

中小企業退職金共済制度は、中小企業の従業員が退職する際に退職金を支給するための共済制度で、独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営しています。

企業が毎月一定額の掛金を支払い、その掛金をもとに従業員が退職時に退職金を受け取る仕組みです。

この制度の目的は、中小企業においても安定した退職金制度を整備し、従業員の生活保障を図ることです。

掛金の額は5,000円から30,000円の範囲で設定でき、企業の財務状況に応じて柔軟に調整可能です。

加入は任意ですが、制度に加入することで掛金が全額損金算入されるため、税制面でのメリットがあります。

また、従業員が退職する際には、掛金に応じた退職金が共済機構から直接支給されるため、企業側の財務負担が軽減されます。

さらに、万が一企業が倒産した場合でも、共済制度によって従業員は退職金を受け取ることができるため、従業員にとっても安心です。

中小企業における人材確保や定着率向上のために、有効な制度といえるでしょう。

特定退職金共済制度

特定退職金共済制度は、主に業界団体や商工会、自治体などが運営する退職金共済制度で、特定の業界や地域の中小企業の従業員に対して退職金の支給を支援する仕組みです。

企業は団体を通じて共済制度に加入し、毎月一定の掛金を支払うことで、従業員が退職する際に共済から退職金が給付されます。

この制度は、同じ業界や地域に属する企業が共同で掛金を積み立てるため、個々の企業が独自に退職金を準備するよりも管理が容易で、財務負担が軽減されるメリットがあります。

特定退職金共済制度の掛金は税制上の優遇措置を受けられ、全額が損金算入可能です。

これにより企業にとっては、税負担の軽減につながります。

また、従業員にとっては、退職金を確保する手段として安心感を持てる点が大きなメリットです。

企業が倒産した場合でも、共済制度から退職金が支給される仕組みになっているため、従業員の生活保障が図られます。

特に中小企業では、自前での退職金制度が難しい場合に有効な選択肢となります。

退職金の税金の計算方法

退職金には税金がかかりますが、通常の給与所得とは異なり、税制上の優遇措置が設けられています。

退職所得控除という控除が適用され、控除額は勤続年数に応じて変動します。

具体的には、20年以下の勤続年数については1年当たり40万円、20年を超える部分については1年当たり70万円の控除が受けられます。

その控除額を引いた後、残った金額の半分が課税対象となり、所得税と住民税がかかります。

この税制上の優遇により、退職金の手取り額が多くなりやすいのが特徴です。

中小企業の退職金の相場は?

中小企業における退職金の相場は、大企業と比較すると低めです。

中小企業では退職金制度が整備されていない場合や、支給額が少額であることが多いですが、業界や地域によっても相場が異なります。

一般的に、中小企業の退職金相場は勤続年数によって大きく異なり、20年から30年程度勤務した場合の支給額は300万円から700万円程度とされています。

退職金の支給額は、企業の経営状況や退職金制度の内容によっても影響を受けるため、導入時には相場を考慮して制度を設計することが重要です。

退職金制度の導入はミライブにお任せください!

いかがでしたでしょうか。

退職金制度の導入には、制度の選定や導入手続き、税務対策など多くの専門的な知識が求められます。

当社では、企業型確定拠出年金の導入について、サポートさせて頂くことが可能です。

また、現役のFPによる、毎年の継続指導についても、合わせてサポートさせて頂くことが可能なので、導入後のフォローについても導入時にクリアにして頂くことが可能です。

また、企業型確定拠出年金を導入することは難しいが、従業員様のセカンドライフ資金準備を会社で支援したいという場合には、個人型確定拠出年金(iDeCo)の導入について、口座解説のサポートはもちろん、必要性をお伝えしたり、継続的な個別相談も含めたサポートを提供させて頂くことが可能です。

企業規模や業界に応じた最適なプランをご提案させて頂きますので、従業員のモチベーション向上や離職防止に役立つ退職金制度の導入をお考えなら、ぜひ当社にご相談ください。

元記事発行日:2024年10月17日、最終更新日:2024年11月18日