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確定拠出年金をやめとけと言われる5つの理由!それでも導入するメリット

確定拠出年金とは?

確定拠出年金は、拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度です。

2001年に、「確定拠出年金法」が制定されました。第一条(目的)には、「この法律は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」

と定めています。

掛金額(=拠出額)が決められている(=Defined Contribution)ことから、確定拠出年金(DC)と呼ばれています。

確定拠出年金がやめとけと言われる理由

「確定拠出年金にデメリットが多い」と言われる場合があります。その言葉を聞き少し不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

確かに、確定拠出年金にはいくつかのデメリットがあります。また、確定拠出年金制度は少し複雑です。

そのため、「加入の判断をするとき」、「加入後に見直しをしようとするとき」、なかなか時間が取れないと言う話もよく耳にします。

どんなものにでも良い面と悪い面があるという表裏一体の関係にありますので、今回は、「自分にとって、メリットとデメリットのどちらが大きいか判断できる」ようになるために、確定拠出年金のデメリットとその仕組みをわかりやすくみていきます。

将来受け取れる給付金が決まっていない

確定拠出年金は、拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する制度です。

加入者本人が運用商品を決めて運用していくため、運用成績によって将来受け取る給付金の金額が変動しますので、将来受け取れる年金額は決まっていません。

自分自身で運用商品を選択できるため、リスクとリターンを自分でコントロールできるためメリットとも言えるかもしれません。

元本割れリスクがある

確定拠出年金の運用対象は、「投資信託」「保険」「定期預金」の3つになります。

投資信託(価格変動型)で運用する場合、株式や債券などに投資をするため、日々価格が上下に変動します。元本保証ではありません。

定期預金や保険は、「元本確保型」となりますが、超低金利下では、資産を増やすことは難しい現状です。

2024年06月の日本の消費者物価指数(総合指標)は、2020年を100とした場合、「108.2」、前年同月比は、2.8%の上昇です。

2020年に、100万円で買えた物は、2024年には、108.2万円出さないと買えません。この4年の間に、100万円の価値が、実質924,214円になってしまったとも言えます。

例えば、銀行の金利と物価上昇率が、ほぼ同じであれば、元本確保が有効な手段となりますが、物価上昇時(インフレ)もしくは、セカンドライフ資金などの長期的な資金準備では、元本確保よりリターンを優先しなければいけない場面があると言えるかもしれません。

受け取り方次第で課税額が高くなることがある

確定拠出年金を受け取る時に、一時金で受け取るか、年金で受け取るかを選択することができます。

  • 「一時金」で受け取る場合:雑所得として税金を計算します
  • 「年金」で受け取る場合:退職所得として税金を計算します

受け取り方により、課税の方法が異なりますので、確定拠出年金の他に受け取る退職金や公的年金の額によって、課税額に差が出ます。

退職を境に、ライフスタイルも大きく変わることになりますので、会社主催の「リタイアメントセミナー」などを活用する、もしくは、ファイナンシャルプランナーと「ライフプランの作成」を行うなど、予め準備しておくことをおすすめします。

原則60歳まで引き出すことができない

確定拠出年金は、原則として、60歳までは運用資産を引き出せません。

「老後資金2,000万円問題」はご記憶に新しいと感じます。2019年6月に金融庁の金融審議会の報告書が公表され、その中で、老後は年金以外の資産として、2,000万円必要だと騒動になりました。

金融広報中央委員会の調査(2022年)によると、世帯主が60歳代の世帯における金融資産保有額は、平均1,819万円、中央値は約700万円となっています。

また、退職金の平均(大学卒勤続38年の場合)は、大企業で約2,230万円、中小企業で約1,092万円という結果があります。

「人生100年時代」を乗り切るためには、60歳まで引き出すことのできないお金の貯め方があっても良いかもしれません。

加入者にも投資の知識が必要

確定拠出年金は、加入者本人が運用商品を決めて運用していくため、何も「準備」せずにスタートしてしますこと、ほったらかしにして「見直し」をしないことは、おすすめできません。

セカンドライフ資金を準備する上で、税制の優遇や運用の指図を自ら行えることは大きなメリットになります。

しかし、『金融リテラシー調査 2022年(金融広報中央委員会)』を見てみると、学校で金融教育を受けたことがあると認識している人の割合は、アメリカが20%に対して、日本は7%程度と言う結果があります。

また、金融知識に自信のある人の割合は、アメリカでは71%と過半数を大幅に上回っているのに対し、日本では、12%。およそ1割程度で、残念ながら『自信がある』という声はあまり聞こえてきません。

企業型確定拠出年金(DC)を導入している企業には、従業員向けにフォローアップ研修があると思います。

忙しいと思いますが、研修に参加し、マネーリテラシーを向上させると、確定拠出年金だけではなく、お金に関する漠然とした不安を一掃できるかもしれません。

確定拠出年金がやめとけと言われても導入するメリット

日本には、戦後から終身雇用(しゅうしんこよう)という慣習がありましたが、昨今、日本でも、転職=キャリアアップと考えるようになりました。

アメリカでは、転職回数はポジティブに捉えられますので、平均勤続年数が4.2年というデータがあり、労働年数を40年で計算すると約8回転職(9社経験)になります。

日本の平均勤続年数は、12.1年でアメリカの2.9倍です。同じく労働年数を40年で計算すると約2回転職(3社経験)していることになります。

日本よりも平均勤続年数が長い国はイタリアの12.2年のみで、世界的にみると平均勤続年数10年未満が多くなります。

セカンドライフ資金(老後資金)を「自助努力(自ら準備)」する傾向は強くなっていくことが想定されます。

個人負担がない(手数料)

企業型確定拠出年金(DC)の場合は、口座管理手数料などを勤務先の会社が負担するケースがほとんどです。(※規約により異なります。)

個人型(iDeCo)の場合は、加入者自身が手数料を負担することになります。

手数料には、次の5種類があります。

1.加入時・移換時手数料

2.口座管理(事務・資産管理・運営管理)手数料

3.給付事務手数料

4.還付事務手数料

5.信託報酬

定期的に発生するコストは、「2.口座管理手数料」と「5.信託報酬」となります。

「2.口座管理手数料」は、国民年金基金連合会に支払う「事務手数料」と、信託銀行に支払う「資産管理手数料」は、合計で年間2,052円です。

※運用管理手数料は無料の金融機関が多いため。

「5.信託報酬」は、DC専用ファンドとして低めに設定されている場合も多く、確定拠出年金では、配分変更(毎月の掛金で購入するファンドの種類や掛金の割合を変更すること)や、スイッチング(積立てた資産を売却し、別のファンドを購入すること)が無料なので総じて運用に関するコストを抑えることが可能ですので、税制優遇の効果の方がはるかに大きいと言えます。

税制優遇措置がある

確定拠出年金は、税制優遇が手厚いというメリットがあります。

拠出時・運用時・給付時の3つの場面で税制優遇を受けることができます。

拠出時

企業型(DC)

「非課税」となります。

事業主が拠出した掛金:全額損金算入

加入者が拠出した掛金:全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)

個人型(iDeCo)

「非課税」となります。

加入者が拠出した掛金:全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)

iDeCo+を利用し事業主が拠出した掛金:全額損金算入

※「iDeCo+」(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)は、企業年金を実施していない中小企業(従業員300人以下に限る)の事業主が、iDeCoに加入している従業員の掛金に上乗せして、掛金を拠出できる制度です。

運用時

企業型(DC)、個人型(iDeCo)共通

運用益:運用中は非課税となります。

積立金:特別法人税課税の対象となります。(現在、課税は停止中)

給付時

企業型(DC)、個人型(iDeCo)共通

年金として受給する場合:公的年金等控除の対象となります。

一時金として受給する場合:退職所得控除の対象となります。

「所得控除」と言われても馴染みがないかもしれませんが、掛金分だけ所得が減るため所得税と住民税が軽減されます。

仮に、「毎月の掛金:2万円(年間24万円の拠出)」の場合、所得税10%、住民税が10%とすると年間4.8万円の税金が軽減される計算です。

また、「運用益が非課税」に関しても、通常、資産運用をして、証券会社などで、投資信託を運用すると、運用益に対して課せられる税金の税率は、20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税:5%)となります。

100万円の収益に対し手元に来る金額は、796,850円になる計算です。

リバランス(運用商品の見直し)のタイミングでも収益が発生した場合は、課税対象になります。

離職時や退職時でも持ち運びができる

確定拠出年金には、ポータビリティ制度(年金資産を持ち運べる制度)があります。

転職する時や退職する時に、課税されることなく、次の制度に持ち運ぶことが可能です。

例えば、別の会社に転職するケースで、転職先にも企業型確定拠出年金の制度があれば、これまで積み立てた資産を移換できます。

転職先に企業型確定拠出年金(DC)の制度がない場合にも、個人型確定拠出年金(iDeCo)に資産を移換することが可能です。

確定拠出年金の始め方

企業型確定拠出年金(DC)は、勤務先の会社が従業員に提供する福利厚生のひとつです。

そのため、導入している会社の従業員は、原則として自動的に加入することになります。

最近は、「選択制」を採用している企業もあります。

これは企業が拠出するべき掛金を、掛金とするか、給与への上乗せで受け取るかを従業員が選べるという制度です。

この場合は、従業員自身が加入するか否かを決める必要があります。

給与への上乗せとして受け取ると、手取りは増えますが、税金や社会保険料が差し引かれますので、セカンドライフ資金(老後資金)準備として活用するという意味では、企業型確定拠出年金(DC)として積み立てていく方が有利と言えます。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入の際は、加入資格区分の確認が必要となります。

国民年金の被保険者種別や勤め先の企業年金の状況により変わります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)を取り扱う金融機関(運営管理機関)を通して口座開設(加入の申出)の資料を請求するところがスタートになります。

金融機関(運営管理機関)ごとに取り扱っている運用商品やサービス内容が異なりますので、比較検討したうえで、ご自身が加入する金融機関を選びましょう。

※加入希望者の方へ(iDeCo公式サイト)

https://www.ideco-koushiki.jp/start

確定拠出年金はミライブにお任せください!

あなたが、30歳から60歳までの30年間(360ヵ月)で、2,000万円の資産を構築しようと思ったときに、銀行(金利0.1%と仮定)で積立した場合は、毎月54,891円×360ヵ月=19,760,760円 2,000万円の98%以上を元本として積み立てる必要があります。

また、銀行(金利0.1%と仮定)に貯蓄しながら、毎月5万円を切り崩していく場合、約34年(94歳)で、2,000万円は無くなります。

確定拠出年金(金利3.0%と仮定)で積立した場合は、毎月34,235円×360ヵ月=12,324,600円2,000万円の約62%の積み立てで準備することが可能になり、同様に、その後も、資産運用(金利2.0%と仮定)しながら、毎月5万円を切り崩していく場合、約54年(114歳)まで、2,000万円は無くなりません。

とは言え、運用や金融というと苦手意識を持っている方が多いのではないでしょうか。

限られた時間とルール(制度)を有効に活用するためには、金融リテラシーの向上が必須要件になります。

社会や経済の仕組みは身近な話題であり、伝え方を工夫するだけで、誰でも比較的短い時間で、効果を、実感することが可能です。

ミライブでは、社会人の皆さまのリスキリングの機会として、無料のオープンイベントなどの『学びの場』を提供しています。

この機会に、「はじめの一歩」を踏み出してみてはいかがでしょうか。

また確定拠出年金制度は、導入後も定期的な投資教育を実施しなければならないことになっていますので、『何をやったら良いのか?』『どうやって実施したら良いのか?』と企業担当者の方からのご質問を受けます。

金融教育の潜在ニーズは高く、魅力的な福利厚生制度として他社との差別化を図ることが可能になります。

※確定拠出年金の投資教育(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/kyouiku.html

ミライブではこれまで、

  • 専門家(ファイナンシャルプランナー)によるライフプランセミナー
  • 企業型確定拠出年金(DC)の導入およびフォローアップ研修
  • 既存研修(新人研修、マネジメント研修など)への金融教育の追加
  • ファミリーデーなどで、お子さま向け金融教育イベントの開催

など、様々な視点から金融教育を実施しています。

セミナーやイベントは参加型で、金融教育を、『楽しく学ぶ場』を創造します。

従業員の皆さまは、将来の大きな不安ではなく、なんとなく、漠然とした不安を抱えていると感じる方が多いようです。

『不安の種』が育ってしまう前に、『金融教育』という種を育んでいきます。

ミライブの金融教育では、従業員エンゲージメントを高めることを意識し、『目的』・『トレーニング内容』・『実施方法』をカスタマイズして、最適解をご提案いたします。

元記事発行日:2024年10月6日、最終更新日:2024年10月15日