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確定拠出年金はいくらもらえる?目安と受取時期について

確定拠出年金とは?

確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)は、将来の年金や退職金を受け取るために、個人や企業が定期的に掛け金を拠出し、その資金を自分で選んだ運用商品に投資して運用する制度です。

運用成果に応じて受け取る金額が決まるため、運用の結果次第で受け取る年金額が変動します。

「Defined Contribution Plan」の頭文字を取り「DC」もしくは、アメリカの確定拠出個人年金制度「401k」を参考にしたので、「日本版401k」と呼ばれることもあります。

日本では「確定拠出年金」と訳されます。

確定拠出年金は、企業型と個人型に分類されます。

  • 企業型確定拠出年金(DC)
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)

将来の資産形成に役立つ制度ですが、運用リスクも伴うため、自身の「リスク許容度」や「投資目標に合わせた運用商品の選択」が重要となります。

今回は、「具体的にいくらくらいもらえるものなのか」を紹介します。

確定拠出年金の4つの給付と受け取り方

老齢給付金

加入者の方が年金規約に定められた一定の年齢(60~70歳)に到達、または60歳以降に退職したことにより加入者資格を喪失すると、通算加入者等期間に応じて定められた年齢で老齢給付金を受け取ることができます。 

受け取り方には、一時金の場合は一括で、年金受け取りの場合、受取年数は5・10・15・20年から選択できます。 

一時金と年金の併給があり、加入者のライフプランにあわせて選択できる点が特徴です。 

通算加入者等期間が10年以上の場合は60歳から、それ未満の場合は、段階的に受給可能年齢が繰り下がります。

60歳時点の通算加入者等期間に応じて、受給可能年齢が判定されます。

ただし、規約に定めた資格喪失年齢が61歳以上の場合、資格喪失年齢の到達前は受給はできません。

資格喪失年齢が61歳~70歳の場合、当該年齢まで掛金の拠出ができますが、その年齢に到達して資格喪失した場合、または到達前に退職した場合のいずれの場合も、60歳到達時点の通算加入者等期間に応じて受給可能年齢が判定され受給の可否が決まります。 

60歳以降は加入者の期間があっても通算加入者等期間には通算されません。(退職所得控除額を計算する時の勤続年数には通算されます)。

また、60歳以降に初めて加入した場合は、加入日から5年経過しないと老齢給付金を受け取ることはできません。

(給付要件)

原則60歳から受給可能(※75歳までに受給を開始)

※規約により60歳以降の場合があります。

(給付方法)

有期年金(5年以上20年以内で規約に定められます)

終身年金(規約に定めがある場合のみ)

一時金 (規約に定めがある場合のみ、年金併用可能)

障害給付金

障害給付金とは、病気や事故などで一定の障害があると認められた場合に請求できる給付金のことです。

身体障害者手帳や療育手帳などが交付された加入者は、確定拠出年金に積み立てた資産を障害給付金として受け取れます。

加入者または加入者であった者が75歳に達する日の前日までに、国民年金法第30条第2項に規定する障害等級に該当する程度の状態となった場合には、 障害給付金を受け取ることができます。

受け取り方は、老齢給付金と同様に、「一時金」「年金」「一時金と年金の併給」の3種類があり、どれを選択しても所得と見なされないので非課税となります。

(給付要件)

一定の障害状態

(給付方法)

老齢給付金の場合と同じ

※障害給付金は非課税です。

※一度裁定請求を行い支給可能となった資産は、障害の状態から回復した場合でも受け取ることができます。

死亡一時金

死亡一時金とは、確定拠出年金の加入者が死亡した場合、遺族に受給される一時金のことです。

一括払いのみで、年金では受け取れません。亡くなった加入者が生前に受取人を指定していない場合、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で受取人を決定します。

また、死亡一時金は、死亡後3年以内なら「みなし相続財産」となり、課税対象となります。

(給付要件)

死亡時

(給付方法)

一時金

脱退一時金

脱退一時金とは、法令で定められた一定条件を満たしている場合、確定拠出年金から脱退して受け取れる給付金のことです。

老齢給付金とは異なり、60歳未満でも受け取れます。

脱退一時金は、一時所得として扱われるため、課税対象となります。

確定拠出年金の受取額について

確定拠出年金は、「個人や企業が定期的に掛け金を拠出」して、その資金を「自分で選んだ運用商品に投資して運用する」制度ですので、下記のような計算で算出することが可能です。

年金資産の計算(毎月1万円※年額12万円を30年間積立)

  • 運用利回り:2%の場合

年額積立金額 × 年金終価係数 = 積立資産総額

12万円  ×  40.568  = 4,868,160円

(積立元本360万円、運用利息1,268,160円)

  • 運用利回り:4%の場合

年額積立金額 × 年金終価係数 = 積立資産総額

12万円  ×  56.085  = 6,730,200円

(積立元本360万円、運用利息3,130,200円)

  • 運用利回り:6%の場合

年額積立金額 × 年金終価係数 = 積立資産総額

12万円  ×  79.058  = 9,486,960円

(積立元本360万円、運用利息5,886,960円)

※年金終価係数とは、一定の期間、一定の金額を毎月同額積み立てながら、一定の利率で複利運用した場合、将来いくらになるかを計算するための係数

※年金終価係数(FP協会)

https://members.jafp.or.jp/chtml/w2/ckk/data/files/dt_life_c.pdf

平均受取額

確定拠出年⾦統計資料(2023年3月末)にて、老齢給付金の給付金額を見てみると、

(1件当たりの年金受取金額)

2019.3月末:71万円

2020.3月末:70万円

2021.3月末:68万円

2022.3月末:69万円

2023.3月末:70万円

(1件当たりの一時金受取金額)

2019.3月末:458万円

2020.3月末:459万円

2021.3月末:464万円

2022.3月末:474万円

2023.3月末:462万円

となります。

直近の市場概況から見ると、受取金額が5年間ほぼ変わらな

い水準(※この期間の日経平均の伸び率は、28.8%程度)であることに違和感があるので、もう少し統計資料を読み解くと、

(元本確保型のみで運用している者の割合)

2020.3月末:34.1%

2021.3月末:32.1%

2022.3月末:29.1%

2023.3月末:26.9%

(元本確保型の選択状況:預貯金型)

20~29歳: 2.2%

30~39歳: 9.3%

40~49歳:24.8%

50~59歳:51.8%

(元本確保型の選択状況:保険型)

20~29歳: 1.6%

30~39歳: 7.7%

40~49歳:24.1%

50~59歳:51.7%

となります。

年齢が高くなると元本確保型(非運用型)の割合が高くなり、その結果、給付金額が伸びないという状況が見られます。

一時金は年金の約2.5倍

2001年に、「確定拠出年金法」が制定され、同年10月より企業型がスタートしたので、まだ20歳から60歳までの40年間、積立運用された方はいません。

確定拠出年⾦統計資料(2023年3月末)にて、老齢給付金の受取件数を見てみると、

(年金受取)

2019.3月末:23,232件

2020.3月末:25,114件

2021.3月末:27,117件

2022.3月末:29,940件

2023.3月末:32,771件

(一時金受取)

2019.3月末:62,828件

2020.3月末:71,537件

2021.3月末:74,074件

2022.3月末:76,189件

2023.3月末:80,511件

となります。

確定拠出年金(老齢給付金)を「一時金」として受け取った件数は、「年金」として受け取った件数よりも約2.5倍多いことがわかります。

退職後、手元にある現金資産(預金など)もある程度持っていると推測すると、確定拠出年金の給付金額をすぐに生活資金に充当しなければならない状況は考えにくく、この差には違和感があります。

確定拠出年金に積み立てたお金は年金や一時金で受け取ることができますが、受取時にも所得控除を受けることができます。

一時金で受け取る場合は退職所得として「退職所得控除」が受けられます。

退職所得控除は勤続年数により計算されます。

例えば、38年勤務の場合、2,060万円分が非課税となります。

年金で受け取る場合は「雑所得」として課税されますが、「公的年金等控除」が受けられます。

まだ給付金額が少なく、退職所得控除により非課税の範囲に収まる場合が多いと考えると、従来の退職金と同様に一時金でもらうケースが多いことは納得できます。

※確定拠出年金統計資料(2023年3月末)(企業年金連合会)

https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/nenkin/files/dc_toukei_2023.pdf

「確定拠出年金を一時金として受け取る場合」の注意点は?

企業型確定拠出年金(DC)を、一時金で受け取る際の注意点は、退職所得として課税されるか否かを事前に確認することです。

一時金が退職所得控除の範囲内である場合は、非課税となるため一時金として受け取る方が多い傾向です。

1.退職所得控除の適用

企業型確定拠出年金を一時金で受け取る場合、退職所得控除が適用されます。

勤続年数に応じて、一時金から控除することができます。

金額によっては、一時金全額が退職所得控除になることもあります。

2.計算方法

課税退職所得金額は、老齢一時金の額から退職所得控除額を差し引いたものの半分です。

退職所得控除額は、勤続年数によって異なります。

退職所得 =(一時金 - 退職所得控除額)× 1/2

(例:退職金3,000万円、37年3ヶ月勤務の場合)

退職所得 =(3,000万円 -(40万円×20年+70万円×18年))× 1/2

退職所得 = 470万円

3.他の退職金との併用がある場合

他の退職金を併せて受け取る場合、算出方法が異なり、退職所得控除額が減額される場合があります。

所属会社の規定などが関係してきますので、担当部署に確認することをおすすめします。

「確定拠出年金を年金として受け取る場合」の注意点は?

企業型確定拠出年金(DC)を、一時金で受け取る際の注意点は、他の所得(給与所得や事業所得等)と合計して総所得金額を求めてから税額を計算します(総合課税と言います。)。

そのため、確定拠出年金だけでなく公的年金や他の所得がどのくらいあるかによって、納める税額が変わってきます。

また、課税される所得金額は、所得控除がどのくらいあるかによっても変わってきます。

1.公的年金等控除の適用

企業型確定拠出年金を一時金で受け取る場合、公的年金等控除が適用されます。

65歳以上なら、公的年金等の収入が110万円以下であれば課税されることはありません。

110万円を超える場合は、確定申告で税額を精算することになります。

ただし、公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合は、他に医療費控除の申告等がなければ、原則として確定申告は不要です。

※確定申告不要制度(政府広報オンライン)

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201212/1.html

2.計算方法

公的年金等の雑所得 = 総収入額 ― 公的年金等控除額

雑所得となる主な公的年金等は、次のものです。

  • 国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による

年金

  • 過去の勤務により会社などから支払われる年金
  • 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金
  • 外国の法令に基づく保険または共済に関する制度で、上記に掲げる法律

の規定による社会保険または共済制度に類するものに基づいて支給を受ける年金

なお、生命保険契約や生命共済契約に基づく年金、互助年金などは公的年金等には該当しません。

※公的年金等の課税関係(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

年金で受け取る場合、他の所得と合算して、課税対象額が大きくなる場合があり、一時金で受け取るよりも、年金で受け取る方が、税金が高くなる可能性があるので、ご注意ください。

「確定拠出年金を一時金と年金を併用で受け取る場合」の注意点は?

基本的に、企業型確定拠出年金(DC)を、一時金と年金を併用して受け取ることは可能です。

一般的には、退職金控除の上限まで一時金で受け取り、残額を年金で受け取る

場合が多いようです。

ただし、会社の規定によっては、年金で受け取った場合の利回りが大きくなり節税の効果を活用するより、全額年金でもらった方が、総受取額が大きくなる場合もあります。

年金の金額は同期であっても、必ずしも同じとは限らないので、こちらも、所属会社の担当部署に確認することをおすすめします。

確定拠出年金のことならミライブにお任せください。

確定拠出年金は、企業型(DC)も、個人型(iDeCo)も良い制度です。

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※確定拠出年金の投資教育(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/kyouiku.html

ミライブではこれまで、

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ミライブの金融教育では、従業員エンゲージメントを高めることを意識し、『目的』・『トレーニング内容』・『実施方法』をカスタマイズして、最適解をご提案いたします。

元記事発行日:2024年8月25日、最終更新日:2024年8月23日