ブログ

ブログ記事を参照して、
社内教育、マネーリテラシー向上、リスキリングにお役立てください。

確定拠出年金と退職金の違いは?それぞれのメリットデメリット

確定拠出年金と退職金の違いとは?

「確定拠出年金」も、「退職金」も、受け取ったお金を老後の生活保障に役立てることができる福利厚生制度のひとつとして導入されています。

昭和から平成に掛けて、「退職金や年金があれば老後の生活費は大丈夫」という時代もありましたが、2019年6月に金融庁の金融審議会の報告書が公表され、老後は公的年金だけでは足りず、2,000万円の補填が必要だと騒動になりました。

これが「老後資金2,000万円問題」です。

2,000万円という金額は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯にて、公的年金による収入だけでは、毎月約5.5万円の不足が生じるため、20~30年間の不足額が約1,320~1,980万円に上るという試算に基づいています。

この不足部分を補填するための「自助努力」が必要ということになります。
 
今回は、退職金と確定拠出年金の違いやセカンドライフ資金の準備方法について見ていきましょう。

確定拠出年金とは?

確定拠出年金は、老後資金をつくるための制度です。

加入者が自分で掛金を運用し、原則60歳以降に、一括でまとめてまたは公的年金のように分割でお金を受け取ることができます。

確定拠出年金には、企業型確定拠出年金(DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)の2種類があります。

退職金とは?

退職金は、会社が資金を準備し、運用方法などは、会社が決定します。

将来受給できる金額などは、社内規定であらかじめ決められています。

基本的には勤続年数や役職をベースに算出することが多く転職などで勤続年数が少ない場合などは、もらえる金額も少なるなる場合があります。

確定拠出年金と退職金の共通点

どちらも、セカンドライフ資金(老後資金)の準備として活用されます。

一般的な貯蓄や運用に比べて、税法上のメリットがあるため、結果的に手元に残るお金を増やす効果を得ることができます。

反面、将来の資金として、「すぐには使えないお金」として保有します。

デメリット部分を理解し、上手に活用する必要があります。

また、企業型確定拠出年金(DC)も、退職金も、退職金制度のひとつとなります。

どちらも導入が義務付けられているものではないので、必ずどちらももらえるというものではありません。

採用する、しないは会社が独自に設定することができます。

企業型確定拠出年金(DC)を採用している割合は、2019年時点で、大企業に分類される会社の67.9%、中堅・中小企業に分類される会社の46.4%というデータがあります。

2011年時点での割合が、大企業に分類される会社の49.5%、中堅・中小企業に分類される会社の27.0%でしたので、退職金制度を、企業型確定拠出年金(DC)に変更している会社は、年々増加しています。

現在、企業型確定拠出年金(DC)を導入していない会社の従業員の皆さまもこの機会に、「確定拠出年金」とは、どのような制度なのか興味を持って、積極的に情報収集をして頂く必要があるかも知れません。

企業型確定拠出年金(DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)の違い

確定拠出年金は、掛金を誰が拠出するかにより、制度が異なります。

  • 会社が掛金を拠出する場合は、企業型確定拠出年金(DC)
  • 加入者自身が拠出する場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)

となります。

企業型確定拠出年金(DC)が導入されている会社にお勤めの方は、ご自身が追加で拠出できる制度(マッチング拠出)や、規定により、iDeCoを併用できる場合もありますので、この機会にご確認ください。

企業型確定拠出年金(DC)とは?

企業型(DC)は事業主が主体となり実施される制度で、その事業主が使用する従業員が加入者となります。

掛金は事業主が拠出するほか、規約に定めることで事業主の掛金に上乗せして、加入者が一定の条件で
掛金を拠出する「マッチング拠出」を設けることができます。

(実施主体)
 企業型年金規約の承認を受けた事業主

(加入対象者)
実施企業に勤務する従業員
※厚生年金保険の被保険者のうち厚生年金保険法第2条の5第1項第1号に規定する第1号厚生年金被保険者、または同項第4号に規定する第4号厚生年金被保険者

(掛金)
事業主拠出
※企業型年金規約に定めた場合は加入者も拠出可能(マッチング拠出)

(拠出限度額)
・確定給付型の年金を実施していない場合:55,000円/月
・確定給付型の年金を実施している場合:27,500円/月

※マッチング拠出の限度額は、事業主掛金額を超えず、かつ、事業主掛金額とマッチング拠出による事業主掛金額の合計が55,000円/月(確定給付型の年金を実施している場合は27,500円/月)の範囲内

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?

個人型(iDeCo)は国民年金基金連合会が実施する制度で、原則として20歳以上60歳未満の全ての方(企業型DCの加入者である場合は、加入している企業型DCの規約でiDeCoに加入できる旨が定められていることが必要)が加入できます。

掛金は加入者自らが拠出します。
 
(実施主体)
国民年金基金連合会

(加入対象者)
1.国民年金第1号被保険者(自営業者等)
※農業者年金の被保険者、国民年金の保険料免除者を除く。
2.国民年金第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)
※公務員や私立学校教職員共済制度の加入者を含む。
※企業型DC加入者においては、以下の全てにあてはまる場合に限る。
  (1)掛金(企業型DC・iDeCo)が各月拠出である。
  (2)iDeCoの掛金額は、企業型DCの事業主掛金額と合算して各月の拠出限度額を超えていない。
  (3)企業型DCの加入者掛金を拠出していない。
3.国民年金第3号被保険者(専業主婦(夫)等)
4.国民年金任意加入被保険者

(掛金)
加入者拠出
※「iDeCo+」(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)を利用する場合は事業主も拠出可能。

(拠出限度額)
1.国民年金第1号被保険者(自営業者等):68,000円/月
※国民年金基金の掛金、または国民年金の付加保険料を納付している場合は、それらの額を控除した額
2.国民年金第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)
・確定給付型の年金及び企業型DCに加入していない場合(公務員を除く):23,000円/月
・企業型DCのみに加入している場合:20,000円/月
※企業型DCの事業主掛金額との合計額が55,000円の範囲内
・確定給付型の年金のみ、または確定給付型の年金と企業型DCの両方に加入している場合:12,000円/月
※企業型DCの事業主掛金額との合計額が27,500円の範囲内
・公務員:12,000円/月
3.国民年金第3号被保険者(専業主婦(夫)等):23,000円/月
4.国民年金任意加入被保険者:68,000円/月
※国民年金基金の掛金、または国民年金の付加保険料を納付している場合は、それらの額を控除した額

※確定拠出年金制度の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html#202

確定拠出年金のメリットデメリット

「確定拠出年金」は、拠出された掛金とその運用益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する制度です。

「退職金」との大きな違いは、運用が自己責任という点になります。

メリット

確定拠出年金のメリットは大きく2点あります。
  
1.税制優遇制度(拠出時・運用時・給付時の3つ)があります。
  
拠出時
企業型(DC)
「非課税」となります。
事業主が拠出した掛金:全額損金算入
加入者が拠出した掛金:全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)

個人型(iDeCo)
「非課税」となります。
加入者が拠出した掛金:全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)
iDeCo+を利用し事業主が拠出した掛金:全額損金算入

※「iDeCo+」(イデコプラス・中小事業主掛金納付制度)は、企業年金を実施していない中小企業(従業員300人以下に限る)の事業主が、iDeCoに加入している従業員の掛金に上乗せして、掛金を拠出できる制度です。

運用時
企業型(DC)、個人型(iDeCo)共通
運用益:運用中は非課税となります。
積立金:特別法人税課税の対象となります。(現在、課税は停止中)

給付時
企業型(DC)、個人型(iDeCo)共通
年金として受給する場合:公的年金等控除の対象となります。
一時金として受給する場合:退職所得控除の対象となります。

2.自分で運用商品を選択できるため、リスクとリターンを自分でコントロールできます。

セカンドライフ資金を準備する上で、税制の優遇や運用の指図を自ら行えることは大きなメリットになります。

デメリット

確定拠出年金にも、デメリットはあります。

1.セカンドライフまで引き出すことができない
確定拠出年金は、原則として、60歳までは運用資産を引き出せません。

2.元本割れリスクがある
確定拠出年金の運用対象は、「投資信託」「保険」「定期預金」の3つになります。
投資信託(価格変動型)で運用する場合、株式や債券などに投資をするため、日々価格が上下に変動します。

元本保証ではありません。
定期預金や保険は、「元本確保型」となりますが、超低金利下では、資産を増やすことは難しい現状です。

3.手数料がかかる
企業型(DC)の場合は、口座管理手数料などを勤務先の会社が負担することが多い(規約により異なります)ですが、個人型(iDeCo)の場合は、加入者自身が手数料を負担することになります。

4.運営管理機関を選べない
企業型(DC)の場合は、運営管理機関を選べません。会社が指定した運営管理機関が選定・提示する運用商品の中から、加入者等自身が商品を選んで運用します。
個人型(iDeCo)の場合は、ご自身で運営管理機関(金融機関等)を選択して口座開設を行うことになります。

5.公的年金額が減少する可能性がある
企業型(DC)の制度には「選択制DC」と呼ばれる制度があります。
これは、現在の給与の一部を確定拠出年金の掛け金として積み立てるため、所得税・住民税・社会保険料の軽減効果があります。

(会社負担分の社会保険料も軽減されるため導入企業が増えています。)

社会保険料が減額する代わりに、厚生年金保険料の積み上がりも減少してしまい、将来の公的年金の受給額も減少します。

6.転職時等に移管手続きを行う必要がある
現在の環境が変わる時(勤めていた会社を転職や離職する場合など)は、加入していた確定拠出年金制度を変更する必要がある場合があります。

「セカンドライフ資金の準備」という目的を前提に考えるとそれほどネガティブな要素にはならないのではないかと感じている方も多いのではないでしょうか。

金融広報中央委員会の調査(2022年)によると、世帯主が60歳代の世帯における金融資産保有額は、平均1,819万円、中央値は約700万円となっています。

また、退職金の平均(大学卒勤続38年の場合)は、大企業で、約2,230万円、中小企業で約1,092万円という結果があります。

「人生100年時代」を乗り切るためには、60歳まで引き出すことの
できないお金の貯め方があっても良いかもしれません。

確定拠出年金ならミライブにお任せ!

あなたが、30歳から60歳までの30年間(360ヵ月)で、2,000万円の資産を構築しようと思ったときに、

銀行(金利0.1%と仮定)で積立した場合は、
毎月54,891円×360ヵ月=19,760,760円 2,000万円の98%以上を元本として積み立てる必要があります。

また、銀行(金利0.1%と仮定)に貯蓄しながら、毎月5万円を切り崩していく場合、約34年(94歳)で、2,000万円は無くなります。
 
確定拠出年金(金利3.0%と仮定)で積立した場合は、毎月34,235円×360ヵ月=12,324,600円 2,000万円の約62%の積み立てで準備することが可能になり、同様に、資産運用(金利2.0%と仮定)しながら、毎月5万円を切り崩していく場合、約54年(114歳)まで、2,000万円は無くなりません。

とは言え、運用や金融というと苦手意識を持っている方が多いのではないでしょうか。

限られた時間とルール(制度)を有効に活用するためには、金融リテラシーの向上が必須要件になります。

社会や経済の仕組みは身近な話題であり、伝え方を工夫するだけで、誰でも比較的短い時間で、効果を、実感することが可能です。
 
ミライブでは、社会人の皆さまのリスキリングの機会として、無料のオープンイベントなどの『学びの場』を提供しています。

この機会に、「はじめの一歩」を踏み出してみてはいかがでしょうか。
 
また確定拠出年金制度は、導入後も定期的な投資教育を実施しなければならないことになっていますので、『何をやったら良いのか?』『どうやって実施したら良いのか?』と企業担当者の方からのご質問を受けます。
 
金融教育の潜在ニーズは高く、魅力的な福利厚生制度として他社との差別化を図ることが可能になります。
 
※確定拠出年金の投資教育(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/kyouiku.html

ミライブではこれまで、

  • 専門家(ファイナンシャルプランナー)によるライフプランセミナー
  • 企業型確定拠出年金(DC)の導入 および フォローアップ研修
  • 既存研修(新人研修、マネジメント研修など)への金融教育の追加
  • ファミリーデーなどで、お子さま向け金融教育イベントの開催

など、様々な視点から金融教育を実施しています。
 
セミナーやイベントは参加型で、金融教育を、『楽しく学ぶ場』を創造します。
  
従業員の皆さまは、将来の大きな不安ではなく、なんとなく、漠然とした不安を抱えていると感じる方が多いようです。

『不安の種』が育ってしまう前に、『金融教育』という種を育んでいきます。

ミライブの金融教育では、従業員エンゲージメントを高めることを意識し、『目的』・『トレーニング内容』・『実施方法』をカスタマイズして、最適解をご提案いたします。

元記事発行日:2024年10月4日、最終更新日:2024年10月15日