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リタイアメント研修とは?内容と実施方法を解説

リタイアメント研修とは?

日本の労働環境、制度が大きく変わっていく中で、ベテラン社員向けの研修を導入する会社が増えています。

一般的に、リタイアメント研修というと、退職の近い社員へ年金や退職金の説明をするシニア研修と思われがちですが、現在の日本では、

  • 少子高齢化による労働力不足
  • 年金支給開始年齢の引き上げ
  • 65歳までの「高年齢者雇用確保措置」

という視点から、ベテラン(シニア)社員を経験を積み熟練した技術やノウハウを持っている、会社の重要なリソース(資源)として、いかに活躍の場を提供できるか注目されています。

また従業員の視点から見てみると、40歳代後半から50歳代の従業員は、「まだ先のこと」と思っていた定年やリタイアが視野に入ってくる世代となります。

これまでの生き方、仕事、生活を振り返りつつ、新たなステージに向けての準備をはじめるのにちょうど良い時期とも言えます。

充実した未来(セカンドライフ)を送るために必要なお金や心の準備の仕方について、これからのキャリアプランや時間の過ごし方を考えるきっかけとなるのが、「リタイアメント研修」となります。

人生100年時代をお金の心配なく生きるために、40歳代後半から50歳代にて、キャリアプランの立て方や、ライフプランニングの考え方を学ぶことは、会社からも、従業員からも注目される話題のひとつです。

今回は、リタイアメント研修の目的や、研修の具体例などをご紹介します。

シニア社員とは?

「シニア社員」には明確な定義がありませんが、高年齢者雇用安定法にて、高年齢者を55歳以上の者と定めてあることから、一般的には55〜70歳で、管理職ではない社員、あるいは役職はあるものの部下がいない社員という解釈が定着してきています。

また、市場調査等で広く使われているマーケティング用語では、35歳~49歳までの男性女性を「M2層・F2層」とし、50歳~64歳までの男性女性を、「M3層・F3層」として属性分けを行っています。

「リタイアメント研修」を、社内の有効なリソースを活用する研修とするのであれば、ターゲット層を従来のイメージから少し広げましょう。

仮に、ベテラン・シニア社員が現在55歳だとすると、70歳まであと15年間。

45歳とだとすると、25年間もの在職可能期間があります。

もちろん新入社員の25年間と、ベテラン・シニア社員の25年間では圧倒的な生産性の違いが見てとれますし、周りに与える影響も異なります。

反対に、ベテラン・シニア社員のモチベーション低下に悩む企業は、決して少なくないのが実情です。

モチベーション低下を放置してしまうと、組織全体へと影響が及びます。

経験やスキルを持ち、対応力の高いベテラン・シニア社員の活躍が望まれています。

リタイアメント研修のメリット

会社の重要な財産(人材)として、「リタイアメント研修」を活用するのであれば、「M3層・F3層」だけではなく、「M2層・F2層」まで対象範囲を拡大してリタイアメント研修を実施することが効果的です。

世代を超えたコミュニティの作成は、スキル(技術)や経験の継承に繋がります。

また、長く働ける環境であることを社員に伝えることができるため、若手社員にも安心感を与えます。ベテラン社員の活躍は、若手社員にとって、将来の自分のための良い手本になるでしょう。

シニア世代のノウハウを活用できる

ベテラン・シニア社員は人手不足の会社にとって即戦力となります。

ところが、働く環境や立場・役割の変化によって、モチベーションを低下させてしまうことが多くあります。

そこで、リタイアメント研修では、コミュニティの再形成を行います。

これまでに培ってきたスキル(技術)や経験を再確認しながら、環境が変わっても会社に貢献し、自ら意欲的に働けるような意識改革を促します。

モチベーションをアップさせることにより、世代間の経験やノウハウの継承を促し、更なる活躍を期待することができます。

働き方改革に繋げる

働き方改革とは、労働環境の質の向上と生産性の向上を目指し、長時間労働の是正、柔軟な働き方の推進、女性や高齢者など多様な人材の活用を促す国や企業の取り組みです。

テレワークの普及、育児・介護休業制度の充実、正規と非正規の格差是正などが主な施策として挙げられます。

働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制が設けられました。

運送・物流、建設業に規制が適用され、企業の減収減益や従業員の収入減・運賃や工事費の値上げなど「2024年問題」と言われています。

ベテラン・シニア社員は即戦力となります。企業の働き方改革を実現するための大きな一助になることもメリットです。経験のある社員が、職場の若手社員の業務をフォローできれば、残業削減や時短勤務などに対応した働き方の実現に貢献します。

若手社員の活性化にも繋がる

研修では、コミュニティの再形成は、長く働ける良い環境であることを社員は自然と感じることができます。

雇用の安定と労働環境の改善は、「従業員の企業に対する信頼の度合い」や「従業員と企業とのつながりの強さ」を表す、従業員エンゲージメントの向上に繋がります。

従業員エンゲージメント向上のメリットは、労働生産性の向上や離職率の低下などありますが、組織全体の活性化、若手社員の活性化にも効果があります。

リタイアメント研修の目的とは?

「人生100年時代」に向けて、厚生労働省は、経済社会システムを創り上げるための政策のグランドデザインを検討する会議として、「人生100年時代構想会議」を、2017年9月に設置しています。

2018年に発表した、「人づくり革命 基本構想」では、

  •   幼児教育の無償化
  •   待機児童の解消
  •   介護人材の処遇改善
  •   リカレント教育
  •   高齢者雇用の促進

を柱に、全ての国民に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくる必要があり、その重要な鍵を握るのが人材への投資であるとしています。

※人づくり革命(首相官邸ホームページ)

https://www.kantei.go.jp/jp/content/000023186.pdf

リタイアメント研修では、「50歳はまだ人生の折り返し地点」とし、ライフプランを作成する課程で、これからの人生のために、自分自身をリブート(再起動)する研修となります。

変化していく労働環境の中で、これまでの生き方、仕事、生活を振り返りつつ、新しいステージに向けて、強みの再発見、新しいコミュニティの創造、長く活躍できるキャリアデザインを行います。

リタイアメント研修の具体例

リタイアメント研修の代表的な構成は、次の3つです。簡単な具体例を交えご紹介します。

1.現状の確認、シミュレーション

キャリア(仕事)、ファイナンス(経済)、ライフ(生活)の3方向から、夢や目標を明確にしていきます。

(具定例)

「ライフプラン作成」(ライフ)セカンドステージ(定年後)のライフプランについて考える研修です。

今後のライフプランについて、自発的に考えることを目的とします。

主に、これからのキャリアや生活設計を学びます。また、老後生活について具体的なプランニングを立て、不安を解消することもこの研修の目的のひとつです。

老後に必要な資金や、資産形成などを学び、課題を明確にしていきます。

(具定例)

「キャッシュフロー表の作成」(ファイナンス)個人向けのキャッシュフロー表は、将来にわたる収入と支出に関する

シミュレーションを行った資料です。

家計の収支、住宅ローン、教育資金、資産運用、税金、退職金、公的年金の試算など、一生お金に困らないようにイマから何をするべきかを資産残高がマイナスにならないかという視点からシミュレーションを行います。

2.アクションプランの作成、実行

これまでの経験やノウハウの棚卸を行い、具体的な課題解決の方法を検討します。

(具定例)

「ナレッジマネジメント」(キャリア)ナレッジマネジメントは、企業全体で知識やノウハウを蓄積し、情報を活用するします。従業員ひとりひとりが持つ知識や経験をデータ化し、業務の効率化や企業価値の向上に役立てます。

知識を「暗黙知」と「形式知」に分類し、それらを適切に共有することで、個人に紐づくノウハウを活用できるようにします。

具体的には、次世代に知識やスキルを「伝える技術」を身につけます。

3.最新情報収集

情報収集は、成功への道を切り拓くための重要なステップです。

特に社会保障や税金制度は適時更新されていきますので、組織全体で最新情報を共有し、知識のアップデートを行います。

キーワードは、「金融リテラシーの向上」です。

金融リテラシーとは、最低限身に付けておきたいお金の知識と判断力のことです。

金融リテラシーを向上させると、経済的ストレスを軽減させます。

将来への漠然とした不安がある人の割合は世代を問わず一定の割合で存在し、賃金の上昇だけでは、将来の漠然とした不安を解消するポイントになりません。

欧州やアメリカでは、ファイナンシャルウェルビーイング(将来のライフイベントを適切に把握し、賢い意思決定によりお金に関する不安を解消させ、未来に向けて自律的に行動できる状態)を、国家戦略として公表しました。

日本でも、2024年に閣議決定され、金融経済教育推進機構が発足しています。

※「金融リテラシー」って何?(政府広報オンライン)

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201404/1.html

リタイアメント研修を実施する流れ

では、実際にリタイアメント研修を導入しようと考えたとき、どのような計画を立てるべきでしょうか。

研修を実施して、それで終わりというのではなく、研修後に活躍できる場を提供し、会社に貢献することが重要です。

そのため、研修計画を立てる際には、活用に関しての具体的な戦略を立て、全社的な方針をあらかじめ手配しておくことが効果的です。

一般的に、テクニカルな研修は、社内の経験者に任せる方法も良いかもしれませんが、リタイアメント研修に関しては、専門性の高い分野であることから、『社外のリソースを活用する』『社内にないスキルを学ぶ』という面で、社外講師を招き、協力しながら進めることをお勧めします。

ミライブにて、セミナーを開催する場合は、カウンセリング:まずはヒアリングをさせて頂き、目標を設定します。

デモンストレーション:主催部門の方向けにデモセミナーを開催します。

カスタマイズ:他の研修や社内制度の内容を踏まえカスタマイズします。

実施:他社の開催事例などを参考に効果的な開催方法をご案内します。

という流れになります。

また、開催後には、アンケートの実施によるフィードバック、個別相談会の開催など、継続していくことにより、より高い効果を期待できます。

リタイアメント研修はミライブにお任せください 

将来に対する漠然とした不安を感じている従業員は多く、リタイアメント研修は魅力的な福利厚生制度として他社との差別化を図ることが可能になります。

ミライブでは、金融(ファイナンス)教育のプロフェッショナルとして、

  • ベテラン社員・シニア社員向けキャリアデザイン研修
  • 専門家(ファイナンシャルプランナー)によるライフプランセミナー
  • 個別相談会による多くの相談経験
  • 企業型確定拠出年金(DC)に関する資産運用セミナー
  • 既存研修(新人研修、マネジメント研修など)への金融教育の追加
  • ファミリーデーなどで、お子さま向け金融教育イベントの開催

など、様々な視点から社内研修を実施しています。

セミナーやイベントは参加型で、『楽しく学ぶ場』を創造しています。

従業員の皆さまは、将来の大きな不安ではなく、なんとなく、漠然とした不安を抱えていると感じる方が多いようです。

ミライブでは、従業員エンゲージメントを高めることを意識し、『目的』・『トレーニング内容』・『実施方法』をカスタマイズして、最適解をご提案いたします。

  

元記事発行日:2024年8月21日、最終更新日:2024年8月23日